千葉県の房総半島は、温暖な気候に恵まれた自然豊かな地。都心からの距離はそれほど遠くありませんが、野生の猿の集団が出没したり、キョンという犬くらい大きさの外来種のシカが繁殖したりするなど、大型哺乳類が生息できる環境があります。
そんな房総半島を歩いてみたところ、多くの爬虫類両生類と会うことができましたのでご紹介します。
今回行ったのは、房総半島の真ん中あたり。千葉県にはあまり高い山はありませんが、房総半島は低山のかたまりのような場所で、中央部には尾根が絡み合ったエリアがあります。
そういった尾根のうち、整備されたルートを歩きました。両側の斜面はかなり急で、低山の登山道といった雰囲気です。
しばらく歩いていくと、山中の道路に出ました。日当たりのよい道路の路肩を歩くと、すこし進むたびにカサッ、カサッという音が。ニホンカナヘビです。じっくり見ていると、ニホントカゲも。いい日光浴スポットなのか、両者ともかなりの密度でいるようです。
しばらく道路に沿って進んでいくと、道路脇に下の川に降りる道筋がありました。
下っていくと、河原に出ます。深くはありませんが、底がはっきり見えるような清流です。
川沿いを上流へむかって歩いていると、足元から川へポチャンと飛び込む音が。ある地点でそれが2、3回続いたので、進むのをやめてあたりを見回したところ、親指サイズの黒いカエルがいました。ツチガエルです。写真を撮っていると、脇に別のカエルが。今度は、小指大サイズです。
しばらく川にとどまっていると、きれいな鳴き声が聞こえてきました。清流できれいな鳴き声と言えば、カジカガエルです。見通しはいい川なので、声のする方を目で探すのですが、なかなか見つかりません。
川岸から、より流れに近い岩の方に近づいてみました。岩に乗り移って、ふと川の中をみると、何かの卵らしきものを発見。タピオカの半分から3分の2くらいの大きさの卵が、板状に固まった状態で水の中にありました。後で調べたところ、カジカガエルの卵のようでした。カジカガエルの卵は石に産み付けられるそうですが、ここで見たものは川底にくっついてはいませんでした。
さて、カジカガエルの声が近くで聞こえるので、引き続き川岸を捜索していると、岩陰ですごいものを見つけました。
ヒバカリです。カエルを食べに来ていたのでしょうか。ゆっくりと、岩陰の方に入っていきます。申し訳ないですが、岩陰に隠れた姿をフラッシュ撮影したあと、引っ張り出してしまいました。
さて、この場所での観察は一区切りつけて、少し離れた川原に行ってみます。ここでは、カジカガエルと、別のカエルの声がします。
川沿いを歩いていると、例によってポチャンという音が・・・。のぞき込むと、やや大きめ、鶏卵サイズのカエルが水中に見えます。
谷の陰になったあたりでも、足を進めると何匹かカエルが跳びこみます。目では追えるものの、人差し指サイズが1メートル以上先まで行ってしまうので、なかなか種類まではわかりません(おそらく、ツチガエルです)。
そんな中、親指サイズが動くのが見えました。しかも、近づける場所にいます。
カジカガエルです。そっと近づいても、動きません。カメラで接写しても動かず。
なんども撮っていると動くのですが、動いても、少しずつなんですね。声だけでなかなか姿を確認できなかったカジカガエル、すこし粘ったおかげで、卵とともに姿も間近で確認出来ました。
さて、川からあがり、登山道(ハイキングコース)を歩いたあとの帰る途中。
田んぼがある開けた場所にでました。田んぼからカエルの鳴き声がするので、ちょっと覗いてみたところ・・・。
すごい量のオタマジャクシがいます。田植えから少し経った状態の田んぼにも、水をためてある池にも、排水路にも、たくさんいます。大きさは小指の先くらい。動きははやく、そばを歩くと結構なスピードで逃げますが、何のオタマジャクシかはわかりません。
田んぼからは、カエルの鳴き声がやみません。例によって姿が見つけられないので、声のする方に行って見ました。すると・・・用水路を挟んだ法面に、小さめのヤマカガシが!
写真を撮ろうとそばによると、法面を横に移動して茂みに入ってしまいました。ヤマカガシはカエル食のヘビです。これだけカエルの声がして、たくさんのオタマジャクシがいれば、やってきますよね。
鳴き声の主を見ようとウロウロしていると、足元で動くものを発見。かわいいアマガエルでしたが、これは鳴き声の主ではなさそうです。
さて、今回は、半日歩いただけでかなりの種類の爬虫類両生類を見ることができました。都心から少し離れただけで、これだけの密度の自然。カジカガエルがいた川原では大型哺乳類の骨や足跡を見ましたし、山の尾根道では哺乳類の糞をみました。
房総半島は、東京からだと充分日帰り圏内。少し早起きして、もしくはゆっくり一泊二日で足を延ばせば、密度の濃い自然と触れ合える場所だと思いました。
スポンサーリンク