オカダトカゲは、東京都の伊豆諸島と伊豆半島のみに生息するトカゲ。パッと見ると、ニホントカゲ(※)と同じように見えますが、何が違うのでしょうか。
※東京周辺のものは、近年ではヒガシニホントカゲと区分されるようになりました。
目次
図鑑の解説でみるオカダトカゲとニホントカゲの見分け方
「日本の爬虫類両生類飼育図鑑」には、ニホントカゲについて、
「本種の体鱗数は24~28列」
オカダトカゲについて、
「ニホントカゲに似るが、体鱗列数が26~30列と多いことで、区別できる。また、本種は生息する島によって、幼体時の尾のコバルトブルー色がニホントカゲより早い時期に消失する傾向があり、その中でも1年も早い時期に成体色に変わる傾向がある(三宅島、八丈島、青ヶ島)、背面中央の淡褐色の縦条が頭頂部で2本に分かれる色が、孵化幼体でも薄れるか失われる(伊豆大島を除く)、体鱗列数が多い傾向がある(三宅島以南)などの違いが見られる」
と記載されています。
体鱗列数というのは、並んでいる鱗の数のことのようです。捕まえてじっくり見ないと数えられないでしょうし、数えても26~28列だった場合はこれを基準に区別はできません。
「学研の図鑑 爬虫類・両生類」のオカダトカゲの項には、「ニホントカゲと同じようなところに住み、平均的にニホントカゲよりも大型になります」と書かれていました。ただ、ニホントカゲもオカダトカゲも「全長20~25cm」とされていて、ものすごくサイズ感が違うわけではなさそうです。
外見をパッと見ただけで見分けるのは、難しそうですね。
参考:上の写真のトカゲについては、干からびたミミズを食べるヒガシニホントカゲを参照
利島のオカダトカゲ
実際に、伊豆大島に近い利島という島にいたトカゲを見てみましょう。
利島は、伊豆大島の隣にある円錐形の小さな島。島に一つだけある港から見た島の姿、島の頂上付近から見た島の姿はそれぞれこんな感じです。
島内には集落があるほか、椿油の生産が主要な産業となっていて、下草が手入れされた椿の林があちこちにあります。
人的に利用されていない山の上の方は、海洋性の気候を感じさせる、常緑樹が目立つ雰囲気。
そんな利島で道路上に出てきたのが、下のトカゲです。外見からでなく見た場所からの判断ですが、オカダトカゲと思われます。
式根島のオカダトカゲ
次にご紹介するのが、東京からみて伊豆大島より遠く、三宅島や八丈島より近い位置にある式根島で見たトカゲ。 式根島は、利島よりは大きいものの、電動自転車で1日かけてまわれる大きさ。利島のようにわかりやすい山頂などはありませんが、自然は残っています。
島内の林などは、利島に比べて海洋性気候・常緑樹の雰囲気がわずかに薄れる感じ。ところどころに小さな農地があったりします。また、島の岩の色合いが、利島が黒っぽかったのに対し、式根島は白っぽい印象です。
その式根島の、小さく積まれた廃材の上にいたのが下のトカゲ。同じく場所柄、オカダトカゲと推定されます。
伊豆大島のオカダトカゲ
最後にご紹介するのが、伊豆大島のオカダトカゲ。正確には、伊豆大島にある東京都立大島公園のインフォメーションセンターで飼育されていたトカゲです。伊豆大島産というクレジットはありませんでしたが、動物園がオカダトカゲとして展示していたトカゲです。
結局どう違うのか
このように、これまでオカダトカゲを何度か見た経験はあったものの、ニホントカゲとの区別は非常に難しいと感じてきました。その思いを代弁するような文章が、何と天下の上野動物園のヒガシニホントカゲ展示コーナー説明版に書かれていましたのでご紹介します。
「ヒガシニホントカゲにはオカダトカゲとニホントカゲという非常によく似た種がいて、外見から区別するのは困難です。オカダトカゲは伊豆諸島および伊豆半島のみ、ニホントカゲは西日本にそれぞれ分布しています。この3種の分布域はほとんど重ならないので、場所によってどちらの種なのか区別するのがもっとも簡単な方法です」
※同じくニホントカゲに似た種類に、イシガキトカゲ、オオシマトカゲ、オキナワトカゲ、バーバートカゲというトカゲがいますので、別記事にてご紹介する予定です。