東京都内には、野生の爬虫類両生類が生息しています。
奥多摩など山間部や離島には、ほかで見られないような固有種や希少種が。
そこまで遠くない、ちょっとした郊外にも、生息環境が残されていればそれなりに。
では、山間部や離島でもなく、一定面積の生息環境がのこっているわけでもない、普通の住宅街や街中には、野生の爬虫類両生類はほとんどいないのでしょうか。
そんなことはありません。
ここでは、都内でもよくみかける爬虫類両生類を5種類、ご紹介します。撮影は、すべて東京23区内です。
目次
都内(23区内)のニホンヤモリ
トップバッターは、夜、明かりの近くで壁に貼りつく姿をみかけるニホンヤモリ。実は、「江戸時代以前の移入動物の可能性が高い(大谷勉著「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」P82)」そうです。
季節的には、夏を中心として、春から秋まで見かけます。時間帯は日暮れくらいから夜が中心。ただ、下の様にまだ明るい時間から出てくるものもたまにいます。
ニホンヤモリは、あまり騒がしくない住宅街の中によくいます。どの家に出るか、だいたい決まっていて、いる建物には複数匹いることが多いです。
秋口には小さな個体を見ることがあり、しっかり繁殖している様子がうかがえます。
なお、下の記事中のニホンヤモリもすべて都内で撮影したものです。
都内(23区内)のアズマヒキガエル
続いては、アズマヒキガエル。こちらは、春先の産卵期に見かける機会が多い種類。都内だと2,3月の夜、一斉に出てきて水場に集まります。夜中、道路上を徘徊する姿に遭遇するのも、この季節がほとんど。繁殖期には冬眠を中断して一斉に出てきますので、同じ日に何匹も見かけたりしますが、少し経つと全くみかけなくなります。
こちらは、夏場に撮った写真。日中や晴れた日は表に出てこないことが多いですが、植え込みの陰などに潜んでいます。
都内(23区内)のニホンカナヘビ
日光浴をする姿をよく見かけるニホンカナヘビ。次に紹介するヒガシニホントカゲと比べ、比較的構造物を上り下りする能力が高いため、塀で区切られた住宅地などでもよく見かけます。動きは、ニホントカゲほどすばしっこくはありません。
小指より小さなサイズの幼体もよくみかけます。
都内(23区内)のヒガシニホントカゲ
ニホントカゲは、ニホンカナヘビに比べて臆病ですばしっこい感じがします。人が近寄るのを感じるとささっと茂みに隠れてしまいますので、姿をゆっくり観察する機会はカナヘビより少ないかもしれません。
ニホントカゲのオスは、成熟すると金褐色になり、繁殖期には喉元がオレンジっぽくなります。一方、メスは成体になっても幼体の時の体色を残します。
姿を見かけるのは夏を中心に春から秋にかけてですが、カナヘビに比べて見かける期間が短い気がします。なお、次の動画も23区内で撮影したものです。
都内(23区内)のニホンスッポン
意外にも、甲羅干しをしている姿を見かける機会があるのがスッポン。護岸がされていて、水深が深くないような川でも・・・。
よく見ると、います。
下の2つの写真は、同じ場所で撮影したものですが、どこだかわかりますか?
実は、皇居のお堀の土嚢の近くにいたものです。
ニホンスッポン、注意していると意外と見かけるのですが、地味な色で周りに溶け込んでしまうのと、基本的に動かずに甲羅干しをしているため、ほとんどの人は気付かずに通り過ぎていきます。
(井の頭公園の池にいたスッポンが出てきます:井の頭池のほとりで関東近辺種を展示・井の頭自然文化園水生物館)
大都会・東京23区で生き延びる野生の爬虫類両生類。ここでは、季節や場所を選んで、見ようと思えば見れる現役の種類を取り上げました。このほかにも、アオダイショウはたまに見かけますし、ヒバカリは一度だけ見たことがあります。一方、ニホンアマガエルは見ていません。
今いる種類を大事にするために、生息環境を残す、移入種を持ち込まないといったことを守っていきたいですね。