ペットとして魅力!アフリカツメガエルの飼育方法

アフリカツメガエルと言えば、アロワナやカエル食の生き物の生餌として売られているカエル。実験動物としても有名です。

蓼科アミューズメント水族館のアフリカツメガエル

生餌や実験動物に使われるくらいですから、飼育は簡単。値段も安価で、入手も容易です。

こういったタイプの生き物は、どうしてもその魅力が埋もれがちになります。手軽、身近なだけに注目されず、エサ用という括り方をされるため、ペットとして見られにくいのが現状。

ただ、こういった事情と、カエルそのものの魅力は関係ありません。実際、いくつかの場所でアフリカツメガエルがきちんと飼育されている姿を見て、レイアウト次第でこんなに映えるカエルなんだと感心させられたことが何度かありました。

当たり前の話ですが、実物をみないと納得してもらえない話でもあります。ということで、今回はそんな魅力的なアフリカツメガエルの飼育環境をご紹介します。

木化石で縦方向を強調した足立区生物園のレイアウト

個人でも入手可能な飼育設備で、きれいなレイアウトをつくる足立区生物園。ここでは、成体サイズのアフリカツメガエルが数匹、展示されていました。

足立区生物園のアフリカツメガエルの水槽

水槽は、大磯砂の上に、木化石を縦に配する構成。ツメガエルはベアタンクで飼育されることが多いですが、ベアタンクの底にツメガエルが沈んでいる様子は、平面的な印象を与えます。木化石のように高低差が演出できるアクセサリーを使って縦方向のアクセントを出せば、写真のように立体感のあるレイアウトが作成可能。

アフリカツメガエルは動きまわりますし、小型熱帯魚と違って力もありますから、あまり細かいレイアウト、入り組んでいるレイアウトは壊されてしまいます。この点からも、重さのある木化石を置くというのはいいアイデアです。

アフリカツメガエルは木化石と水槽のすきまに隠れていた

木化石の配置は、山水画を思わせるようなデザイン。アフリカツメガエルの魅力を引き出す素晴らしいレイアウトだと感じました。

オールガラス水槽に白砂利と緑を配したKawazooの水槽

コンクリート打ちっぱなしの部屋に、オールガラス水槽。どこのおしゃれインテリア水槽かと思うこの景色ですが、実はカエル専門の動物園Kawazooにおけるアフリカツメガエルの展示水槽。

コンクリート打ちっぱなしの部屋に置くような魅せるガラス水槽では、ライトの光が降り注ぐ水草密植系のレイアウトや、サンゴの間を原色系の海水魚が泳ぐ演出をよくみかけます。

こういった水槽は、メンテナンスが大変です。水草水槽であれば、頻繁なトリミングとCO2添加。海水魚水槽であれば、海水をつくって濾過システムを稼働させ、プロテインスキマー、殺菌灯を用意して・・・。オフィスで導入するようなケースでは、週単位でメンテに来てもらい、月額数千円以上のリース料・レンタル料がかかることもあります。

一方、このアフリカツメガエルを主役にした水槽は、かなりローコスト・ローメンテナンスで運用できる内容。

アフリカツメガエルは、水温・水質にうるさくありません。水温は、「20~25℃が適温だが、5~28℃の範囲の水温変化もゆるやかな限り耐える」(千石正一著「爬虫両生類飼育図鑑」)。つまり、人が快適に過ごせる部屋なら室温のままで大丈夫。水質も、定期的な水替えプラス簡易なポンプ付きフィルターがあればOKです。餌も人工飼料に餌付きますし、紫外線も要求しません。

アフリカツメガエルという主にエサ用として売られているカエルを、簡単に運用可能な水槽構成で飼育して、これだけの雰囲気が出せる。さすがKawazooです。

白砂の底砂に、ワンポイントの緑としての水草

さて、この水槽は、なぜこんなに映えるつくりとなっているのでしょうか。

まず言えるのは、グレーの生体に対し、白系の底砂に茶色の岩や流木、ワンポイントのグリーンといった配色のバランスが押さえられているからということ。そして、何よりもアフリカツメガエル自体が、主役を張れる存在感を持っているからということ。

アフリカツメガエルは、売られている生体は3cmくらいのものが多いようですが、成長すると体長10cmほどの大きさとなります。姿かたちも、ふっくらとした体から大きな手足を広げる姿を改めて見てみると、かなりユニークで愛嬌のある形をしています。

大きさと形に存在感があるので、2,3匹いればこのサイズのオールガラス水槽に負けません。ちいさなエサ用カエルですが、成長すれば充分主役を張れるカエルになります。

アフリカツメガエル水槽に使える水草

さて、カエルに限らず、大きいサイズの動き回る生き物と水草との相性はよくありません。せっかく植えても底砂から掘り返してしまったり、なぎ倒してしまったりするからです。ただ、以下のような条件を満たす水草なら、共存が可能。

  • 葉や茎がかたく丈夫
  • 着生タイプで掘り起こされたりしない
  • 成長が遅く、トリミングが不要

これらの条件を満たしていて、よくアロワナ水槽などにも使われているのが、着生アヌビアス・ナナ。Kawazooの水槽では、まさにその着生アヌビアス・ナナが、水草として使われていました。

シンプルに大磯砂と正方形水槽で生体の魅力を引き出す蓼科アミューズメント水族館

繰り返しになりますが、アフリカツメガエルは成長すると、大きさ・形ともにかなり存在感のある姿になります。

逆にいえば、生体の貫禄がついてくれば、シンプルなレイアウトで生体そのものの姿を楽しむのもひとつの選択肢。そんな場合に参考になりそうなのが、蓼科アミューズメント水族館のこちらの水槽。

四角い立方体の水槽に、黒のバックスクリーン。中には、健康そうな成体が3匹います。水槽の両サイド面は、ガラスが反射して鏡のように中を映し出しています。

水槽の中は、エアレーションと底に敷かれた大磯砂のみ。シンプルですが、背景が真っ黒なので、グレーのカエルが引き立ちます。また、両サイドを鏡のようにすることで、小型水槽でありながら視覚的な広がりが出ています。底面も、大磯砂を敷くだけで雰囲気が引き締まり、ベアタンクの無機質さとは全く違った印象となっています。

アフリカツメガエルのエサ

さいごに、アフリカツメガエルの餌についてみていきましょう。

カエルは、オタマジャクシ時代を除いて基本的に肉食の生き物です。アフリカツメガエルも、「イトミミズ・赤虫・昆虫類の小動物や、レバー等の肉片を手でかき込んで食べる」(爬虫両生類飼育図鑑)。

動かないエサでも大丈夫なので、生餌である必要はなく、肉食熱帯魚用の人工飼料などが利用できます。

アフリカツメガエルは、水面に浮かんでいるタイプのカエルではなく、水中の底の方にいるカエルです。したがって、観賞魚用の配合飼料を選ぶ際には、水面に浮かぶタイプのものではなく、沈下性のものがお勧め。底棲魚用のエサであれば、底に沈んでからも形を保ちますので、溶けてバラバラになって水を汚すこともありません。

アフリカツメガエルは、エサ用カエルや実験動物としてベアタンクや簡素なケージで飼育されることが多いもの。ただ、成長した個体をひと手間かけたレイアウトで飼育すると、主役級の魅力を感じることができます。ペットとして飼うアフリカツメガエル、おすすめです。