野外採集も徹底解説「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」

はじめに特徴を箇条書きにすると・・・

・対象は日本で見かける爬虫類両生類に限るが、日本で見かけるものについては幅広い種類を網羅。個別種ごとに写真付きのページがあり、品種同定のための図鑑としても使用可能。

・野生種の採集飼育を前提としているので、飼育だけでなく採集方法と採集後の運搬方法について記載がある。

となります。

現在絶版で、中古市場で高値で取引されているこの本。私は幸いにも、新刊を定価で買うことができました。高値で流通するのもうなずける、日本にいる爬虫類両生類を採集・飼育する上で、とても参考になる充実した内容の本ですのでご紹介します。

本の基本的構成ですが、①ヘビ、②ヤモリ含むトカゲ、③カメ、④カエル、⑤イモリとサンショウウオの各グループごとに、それぞれ採集と運搬の方法、飼育ケージの大きさや構造・設備、エサ、温度や湿度など日常・季節の管理、繁殖といった項目について、詳細な解説があります。各種ケガや病気への対処方法なども、くわしく記載されています。

その上で、相当な数の個別種について、個別解説のページが用意されています。「ヨナグニシュウダ」「オカダトカゲ」「ヤエヤマイシガメ」「リュウキュウカジカガエル」「ハコネサンショウウオ」といった細かい種ごとに解説がある本って、なかなかないですよね。個別解説ページには、写真や図鑑的な基礎情報に加え、飼育者にとって知りたいケージの大きさ(90センチ水槽サイズの横型といったように具体的)、餌の種類、飼育に向くか(法的な規制、飼育の難易度、種の貴重さなど、さまざまな観点から)等々の情報がつまっています。

この本は、ライターが初心者向けにわかりやすくまとめた本ではなく、マニアや動物園水族館飼育係の方が参考書として読み込むような本だとおもいます。著者の大谷勉さんは、有名な高田栄一先生の流れを汲む方とのこと。特に、他資料ではなかなか記載がない採集と運搬の項などは、どこで見つけるか、どうやって捕まえるか、どのように収納して運ぶかといった、実際に場数を踏んだ方でないと書けないリアルな記載で満ち溢れています。現実に野外採集に出ることを前提として、そもそも採集して良い種類なのか、その規制についての記載もあります。野外のフィールドで爬虫類両生類を捕まえ、長く飼育してみたい、繁殖もさせてみたいという方には、必携の教科書だと思います。


日本の爬虫類・両生類飼育図鑑