爬虫類両生類の図鑑を眺めていると、見分けがつきにくい、同じような写真が並んでいるページがあります。
そのページとは、有隣目トカゲ亜目トカゲ科トカゲ属の項。わかりやすくいうと、ニホントカゲのあたりです。
ニホントカゲといえば、少し前まで同一種とされていたものが、東日本の「ヒガシニホントカゲ」と西日本の「ニホントカゲ」にわけられ、別種として分類されたのが記憶に新しいところ。
このサイトでも、ヒガシニホントカゲ(①、②)にくわえて、すでにオカダトカゲとイシガキトカゲを紹介していますが、これらのトカゲをパッと見ただけで区別がつけられる人はなかなかいないのではないでしょうか。
図鑑をみると、同じような外見をもつ「有隣目トカゲ亜目トカゲ科トカゲ属」のトカゲは、ほかにも多くいます。
・オキナワトカゲ
・オオシマトカゲ
・アオスジトカゲ
・バーバートカゲ
・キシノウエトカゲ
今回は、そんなトカゲたちの中から「オオシマトカゲ」をご紹介したいと思います。
オオシマトカゲの生息域は、奄美諸島とトカラ列島
オオシマトカゲは、鹿児島県の奄美諸島およびトカラ列島を生息域としています。一方、奄美諸島にはオオシマトカゲとよく似たバーバートカゲも住んでいます。
大谷勉著「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」は非常に詳しい本なので、オオシマトカゲとバーバートカゲの見分け方が書いてありますが、素人が自信をもって判断できるほどの違いはありません。
ここでは、生息域からオオシマトカゲだと判断できる、トカラ列島で見た個体を紹介します。
トカラ列島某島に上陸
トカラ列島は、鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に位置する島々。いずれも人口数十人から百数十人の小規模な島で、交通手段は週二回の船便のみです。
鹿児島港から深夜に村営フェリーで出発、各島々へは翌朝到着します。非常に生息域が限られている種類なので、ここからはトカラ列島「某島」ということで話を進めます。
オオシマトカゲ発見、あたりの状況は?
某島上陸後、車の下敷きになって干からびたトカラハブやきれいな蝶などを見つつ、生き物の陰を探します。そこでみつけたのが、この個体。
あたりの状況は、
・海からすこし離れたところ
・日が当たる場所と日陰の場所の境目
・一カ所で、複数匹がみられる
感じ。近くには、幼体の姿も見えました。
こういった離島のトカゲは、移入種により壊滅的な打撃を受けます。イタチに捕食される伊豆諸島のオカダトカゲしかり、クジャクに捕食される八重山諸島のキシノウエトカゲしかり。
「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」によれば、オオシマトカゲも、奄美大島ではマングースにより激減、トカラ列島でもすでにイタチにより絶滅に追い込まれた可能性が高い島があるそうです。
オオシマトカゲの生息する島々は、本当にちいさな島。そのうえ、オオシマトカゲには島ごとに体形や色彩などの地理的変異があるそうです。島の個体という意味では、このトカゲの生息域も、ほんの限られた区域でしかありません。
とにかく、そっとしておきたいものです。