このサイトでは、多くの爬虫類両生類関連施設を訪問しています。
といっても、その規模は様々。公的施設や民間テーマパークの一部をなす大型施設もあれば、わずかな人数で運営される小規模施設もあります。
今回ご紹介するのは、施設の規模は最小クラス、しかしながら展示の充実度はとても高いというところ。
茶臼山高原両生類研究所、別名茶臼山高原カエル館です。
目次
茶臼山高原カエル館への行き方、アクセス
茶臼山高原は、愛知県最高峰・茶臼山(標高1415メートル)周辺の高原地帯。愛知県と長野県の県境に位置し、飯田から車で約1時間半、浜松・豊橋・名古屋からいずれも約2時間の場所にあります。アクセスは事実上車のみに限られ、公共交通機関はありません。
一帯は、冷涼な気候という地の利と、シカやノウサギといった豊かな自然に恵まれ、周辺にはスキー場や観光リフト、牧場・宿泊施設などが点在しています。
高原には茶臼山湖という湖があり、カエル館はその茶臼山湖のほとりにあります。周辺道路には小さな看板があちこちに出ていますので、近くまで行けば迷うことはないでしょう。
カエル館の建物は、立地する根羽村の旧観光案内施設を借り受け、中学校の先生を早期退職した館長が整備したという建物。窓から明るいひかりが入る、趣ある建物です。
個人飼育の参考になる飼育設備の工夫や構成
館長は中学校の先生時代からカエルの研究をされていたこともあり、生体の飼育環境は整っています。
飼育されていたのは、
- アマガエル
- ニホンアカガエル
- ヤマアカガエル
- シュレーゲルアオガエル
- モリアオガエル
- カジカガエル
- ツチガエル
- トノサマガエル
- ネバタゴガエル
- アズマヒキガエル
- ミヤコヒキガエル
- チョウセンスズガエル
- アフリカツメガエル
- イモリ(アカハライモリ)
訪問時点でツメガエルは21年、スズガエルは27年飼育しているという、貫禄の個体です。
ほかにも栄養が行き渡っていることがわかる、ふっくらとした生体が多くいます。飼育年数も長いようですが、寿命もこれくらいある、と館長は謙遜します。
飼育設備の基本は、個人で入手できるごく普通の水槽。吸盤でガラス面を登るかどうかなど、カエルの種類に応じて蓋の種類がちがいます。
登らないカエルのケージの蓋は、1センチ程の通気孔が空いた透明な蓋。登るカエルのものは、5ミリ小の通気孔が空いた蓋で、内側に木枠がはめられていました。餌皿の真上には1センチ大の穴が空いていて、ここからミルワームを落とす仕組みと思われます。
ミルワームは生きのいい状態で、エサは他にバッタも与えている模様。
水槽内の基本構成は、
- ミズゴケ
- ひっくり返されないガラスの重そうな灰皿
- タイル
のセット。場所柄天然の気候が適湿なのと、ミズゴケの保湿がきいていて、水場は灰皿で充分な感じ。カジカガエルなど、水場メインの環境で飼育されることが多い種類も、ここではこの基本形で飼育されていました。
目玉はワンと鳴くネバタゴガエル、展示数は多く長寿個体も
カエル館の目玉は、ワンとなくカエル。このあたりで発見された新種で、第1発見地でありカエル館が立地する根羽村の名をとって、「ネバタゴガエル」の名がついています。
ネバタゴガエルの音声は、DVDで聞くことができます。
ワンと鳴くカエル、といえば、鳥羽水族館のイヌガエルもワンと鳴いていましたが、ここのネバタゴガエルも、はっきりワンと音を発します。
マニアでなくとも楽しめる、館長との距離が近くてアットホームな雰囲気
カエル館ではこのほかに、青いアマガエルを間近でみれたり、巨大ヒキガエル(館長は静岡県くらいにはこれより大きいのがいるというが、普通の人がみるヒキガエルとしては最大クラス)とのふれあい・餌やり体験をすることができたりと、両生類マニアでなくても楽しめる内容。
カエル館はこじんまりした施設なので、館長と、入れ替わり立ち替わりくる来館者との間で、話がはずみます。この日は私も、カエルの写真を撮る時、隠れているカエルを探している時に、ケージの蓋をとって見せていただくことができました。
カエル館設立までの経緯は、本になっているようです。