お馴染みの種類からちょっと珍しい種類まで、爬虫類両生類の野生での姿をご紹介します。
沖縄・久米島で見たオキナワキノボリトカゲ
皆さんは、キノボリトカゲ(オキナワキノボリトカゲ)というトカゲをご存知でしょうか。

関東圏出身の方の場合、子供の頃から慣れ親しんだ身近なトカゲというと、①草むら近くで日光浴をしているニホンカナヘビ、②夜、蛍光灯で照らされた白い壁に張り付いている二ホンヤモリ、③幼体のブルーの尾が美しいメタリックなニホントカゲ、ではないでしょうか。いずれも、姿かたちとしては装飾的要素がなくシンプルな種類です。
(さらに…)【徹底解説・決定版】ヤモリとイモリの違い(写真多数)
「イモリとヤモリの違いは?」

爬虫類・両生類好きにとって、間違えようのないイモリとヤモリ。ただ、一般的には、なかなか区別がつきにくい生き物でもあります。
イモリとヤモリは、少なくともライオンとトラ、犬と猫くらいには違う生き物です。そこで今回は、飼育経験そこそこ・目撃経験多数の当サイトなりに、ヤモリとイモリの違いを徹底解説。この記事を読めば、必ず見分けられるようになります。
イモリとヤモリのかんたんな見分け方は2つ
イモリとヤモリの相違点は多々あります。ただ、わかりやすく、これさえ覚えておけば99%判別可能という見分け方を挙げるとすると、次の2つになります。
①イモリは水のあるところにいる。ヤモリは乾燥したところにいる。
②イモリは地面近くにいる。ヤモリは高いところにいる。
野生の写真で見分けてみる(アカハライモリとニホンヤモリ)
さっそく、本州で見かけるイモリとヤモリの一般的な種類について、実際の野生の写真を確認してみましょう。まずは、イモリの方。日本で一番メジャーな種類であるアカハライモリを、野生で見かけた時の写真がこれ。

どんなところにいたかと言えば、、、

上のような湿原の池塘(水たまり)の中です。水のあるところで、地面近くということがわかると思います。アカハライモリは、島根県の神社の池でみかけたこともあります。野生のアカハライモリを尾瀬でみるという記事にその時の写真を載せていますのでご覧ください。
一方のヤモリですが、同じく本州でもっとも一般的にみられるニホンヤモリの写真がこれ。

どんなところにいたかと言えば、、、

都内の、築数十年と思われるマンションの塀にはりついていました。乾いたところで、地面から離れた比較的高いところにいるのがわかると思います。
野生の写真で見分けてみる(少し珍しい種類)
それでは、日本にいる少し珍しいイモリとヤモリの写真を見てみましょう。まずは、イモリの方。日本にいるイモリは大別して3種類、アカハライモリとシリケンイモリとイボイモリになります。シリケンイモリは後程赤ちゃんを登場させますので、ここではイボイモリを見てみます。

くわしくは、奄美大島夜の観察行 山地編(ハナサキガエル、オットンガエル、イボイモリほか)という記事で紹介していますが、山のなかの林道沿いの沢水がたまった場所で見かけたイモリです。ここにはカエルが産卵に来ていて、イモリはカエルの卵やオタマジャクシを食べに集まっていた模様。全体的な雰囲気は、下の写真のような感じでした。

見てみると、やはり水のある場所で、かつ地面近くにいるのがわかると思います。
もう一方のヤモリのすこし珍しい種類を見てみます。こちらは、西表島でみたホオグロヤモリという種類。南方には同じようなヤモリがたくさんいるので、あくまでおそらくホオグロヤモリ、です。

このヤモリ、夜の間ずっと鳴いていました。鳴き声、結構大きかったです。さて、明るい照明の脇にいるので何となくおわかりかと思いますが、ヤモリがいた場所は下のようなところ。

水場でなく、地面から離れた高い場所にいるのがわかると思います。
ここで少し注意です。イモリは水のある所にいると書きましたが、これは常に水中にいるという意味ではありません。野生のイモリは、乾燥には弱いものの、湿った林の落ち葉の下など必ずしも水中でない場所にも暮らしています。「水のあるところ」は少し広めに捉えていただければと思います。
忘れそうになったときの覚え方、「井守」と「家守(屋守)」
イモリは漢字で「井守」、ヤモリは漢字で「家守(屋守)」と書きます。これは、イモリは井戸を守り、ヤモリは家屋を守るからともいわれています。2つの見分け方を念頭にここまでの写真をみれば、この「井守」と「屋守(家守)」のイメージがすっと頭に入ってくると思います。イモリとヤモリ、どっちがどっちか思い出せなくなったら、2つの見分け方と漢字の表記を思い出してください。
イモリは泳げる・潜れる、ヤモリは素早く登れる・張り付ける
さて、ここまでは、イモリとヤモリの違いを生息環境の面から説明してきました。次は、イモリとヤモリの身体能力の差に着目してみます。ただ、結局、前に挙げた2つの違いを別の面からとらえているだけなんですが・・・
イモリは水の中で泳げる、潜れる
まず、イモリの方。イモリは水中に長い時間潜ったり、決して早くはないものの泳いだりすることができます。イモリを飼育している水族館の飼育環境を見てみましょう。下の写真は、井の頭自然文化園水生物館のイモリの水槽です。

水中に、何匹かイモリがいるのが見えます。魚のようには泳ぎ回りませんが、水中での移動は慣れたもの。魚とはレベルが違いますが、一応泳げるといっていい水準。

見ていると、ときどき息継ぎのためにあがってきますが、基本的にはかなりの長い時間、水中にいることができるようです。
一方、ヤモリが水中に潜ったり、水中で泳いだりしている場面は見たことがありません。ヤモリは水を飲むときも、朝露や夜露を舐める形で飲むそうです。また、ヤモリの飼育書を読むと、「ヤモリは水を直接飲まないので霧吹きで水を与えよ」とあります。そのうえ、「体温が下がるから霧は体に吹きかけるな」と。ヤモリ、イモリと全然違いますね。
ヤモリは壁に素早く登れる、張り付ける
泳げない、水に潜れないヤモリですが、壁に貼りついたり登ったりする能力は天下一品。イモリの「一応泳げる」ようなレベルとはちがって、なぜこんなところに貼り付けるのかわからないようなツルツルの面にも張り付きますし、壁を登るスピードもすごく早い。まずは、ガラス面に貼りついたヤモリの姿をご覧ください。

上の写真は、登別マリンパークニクス陸族館で飼育されているマダガスカルヒルヤモリです。ツルツルのガラスにピタッと貼りついて落ちません。裏側からみると、手足の指でガラスに貼りついていることがわかります。
ヤモリの貼りつく力はなかなかのもので、世の中には、ヤモリの指の仕組みをもとに開発された接着テープ、通称「ヤモリテープ」という製品まで存在します。ヤモリテープを開発した日東電工のHPによれば、ヤモリの指先には非常に細かい毛が超高密度で密生していて、その細かい毛が壁面の分子レベルの細かい凸凹に入りこむことにより、壁面に吸い付くことができるそうです。ヤモリ、すごいですね。
日本のイモリとヤモリ、その他の違いいろいろ
お腹が赤いのがイモリ、白いのがヤモリ
日本で最も一般的なイモリであるアカハライモリは、地域による外見・模様のバリュエーションがかなりあるものの、名前の通りおなかが赤色をしています。次の項で説明しますが、アカハライモリには毒があり、目立つ赤は、毒を持っていることを示すための警戒色と考えられています。

一方、ヤモリは、日本産種のみならず、基本的にお腹が白い色をしています。実例は、先ほどのガラスに貼りついているヤモリの写真をご覧ください。ちなみに、ヤモリの仲間であるワニやトカゲ、ヘビなども、同様にお腹の色は白い傾向があります。
毒があるのがイモリ、毒がないのがヤモリ
アカハライモリは、小さな生き物で、動きも早くありません。野生においてはかなり弱い存在です。そこで、自分の身を守るために、フグ毒と同じ種類の毒を持っています。一方、ヤモリに毒はありません。
尻尾を切って逃げるのがヤモリ、自分から尻尾を切らないのがイモリ
イモリは身を守るために毒をもっていましたが、ヤモリは別の方法で身を守ります。ヤモリは、襲われたときにみずから尻尾を切ります(自切といいます)。尻尾はしばらくの間動いているので、敵はそちらに気をとられてしまいます。ヤモリは、その間を利用して逃げます。いわゆる「トカゲの尻尾切り」ですね。一方、イモリは尾を自切しません。
尻尾の再生能力を持つのがヤモリ、尻尾以外も再生する能力を持つのがイモリ
ヤモリは尻尾を自切しますが、しばらくすると尾は再生します。しかし、尻尾以外の手や足がなくなると、再生することはできません。一方、イモリは手足ばかりでなく、目や脳、心臓の一部を切りとっても再生するという驚異の能力を持ちます。このイモリの能力は、再生医療等への応用ができないか研究の対象となっています。
赤ちゃんが親と同じ形でないのがイモリ、同じ形なのがヤモリ
イモリの赤ちゃん(幼生)は、親とはすこしちがった姿をしています。奄美大島の山の中でシリケンイモリの赤ちゃんを見た時の写真がこちら。

わかりにくいですが、白いレンゲの中にいるのが赤ちゃんです。小さくて細めのウーパールーパーとオタマジャクシを足して2で割ったような姿をしています。イモリは卵から生まれ、このような親とは違う形の幼生として過ごした後、変態を遂げて成体になります。
一方、ヤモリの赤ちゃんは大きさこそ小さいですが、卵からうまれた直後から姿かたちは親と全く同じです。
赤ちゃんが親と同じ姿かどうか。これは、爬虫類(ヤモリ)と両生類(イモリ)の違いでもあります。
前足の指が4本なのがイモリ、5本なのがヤモリ
いよいよマニアックな話になってきました。ふつう、イモリとヤモリを見分けるのに前足の指を数えたりしませんよね。ただ、タイトルに【徹底解説・決定版】と銘打ってしまいましたので、一応触れておきます。日本を代表するポピュラーなイモリとヤモリについて、
・イモリ(アカハライモリ)の前足の指は4本

・ヤモリ(ニホンヤモリ)の前足の指は5本

となっています。
大きな鳴き声がしたら、ヤモリ(ただし本州の一般的なヤモリの鳴き声はあまり聞かない)
本州でよくみるニホンヤモリの鳴き声はあまり聞きませんが、南方にはよく鳴くヤモリがいます。上で触れた西表島のヤモリの声はかなり大きかったですし、有名なところでは、「トッケイ」と鳴くトッケイヤモリという種類が外国にいます。

私も東南アジアのゲストハウスでトッケイヤモリの鳴き声を聞いたことがありますが、相当大きい声でした。たまに「トッケイ」と声をあげるのですが、人間が少し離れた場所の人と話すくらいの声の大きさで、かつ人間の話し声より良く通る音がします。
一方、イモリが大きい声で鳴くという話は聞いたことがありません。大きい声で鳴いていたら、ヤモリの可能性が高いです。
イモリとヤモリ、東京(大都市)でみかけるのは?
人家にすむヤモリと、水場付近や湿地帯に生息するヤモリ
ヤモリは、東京でも野生の姿を普通に見かけることが出来ます。夏の夜、蛍光灯で照らされた少し古い建物の白い壁などを注意してみてください。よくいる地域とそうでない地域があるようですが、都内の住宅街を何か所かまわれば、壁に張り付いているヤモリを見ることはそれほどむつかしいことではありません。近寄ると、時々するするっと逃げられますが、ヤモリは基本的には毎日同じ場所に出てきますので、隠れてしまっても翌日同じところに行けばまた見れます。

一方、東京で野生のイモリを見ることは難しいです。井の頭自然文化園水生物館にあった説明によると、東京都レッドデータ(2010)で、区部では絶滅危惧IA類、多摩地区では絶滅危惧IB類に指定されているとのこと。東京では特定地域の湧き水のある場所などにわずかに生息しているというのが現状のようです。
家屋をすみかに出来るヤモリと、水たまりや湿地帯に生息するイモリ。東京には、ヤモリが棲める人家はまだ多く残っていますが、イモリが棲めるような環境はほとんど消えてしまったのでしょう。
イモリもヤモリも販売されている
ただ、ペットショップなどでは両方とも見ることができます。アカハライモリは、ちょっとしたホームセンター等でペットとしてよく売られています。値段も数百円とそれほど高価ではありません。ヤモリの方は、ペットとして売られているのはあまり見かけませんが、爬虫類専門店などでほかの爬虫類の餌(餌ヤモリ)として販売されているのをたまに見ます。餌としての販売なので、まとめ売りが多く、一匹当たりの値段は当然高くありません。
飼いやすいのはイモリ、ヤモリは餌やりが大変
イモリとヤモリ、飼いやすいのはイモリの方です。イモリは人工・冷凍のエサで飼えますが、ヤモリは基本的に動く(生きている)小さな虫しか食べないからです。このサイトの「餌・ケージ」コーナーを読めばわかりますが、生きている小さな虫をコンスタントに用意して与えるのは、結構大変です。一方、イモリはホームセンターなどで売っている人工飼料や冷凍アカムシを食べるため、金魚やカメと同じ感覚でエサを与えることができます。
最後に・・・ヤモリは爬虫類、イモリは両生類
イモリ=両生類、ヤモリ=爬虫類。これ、事実なんですが、最後まで書きませんでした。ヤモリとイモリの違いがわからない場合、爬虫類と両生類の違いもよくわからないことが多いはずと思ったからです。ただ、爬虫類と両生類の違いを押さえると、ヤモリは爬虫類だから〇〇という特徴がある、イモリは両生類だから××という特徴がある、といった説明が可能になります。爬虫類と両生類の違いは別記事で解説する予定ですので、わからない方はご一読ください。
ちなみに、記事の冒頭で、イモリとヤモリはライトンとトラ、犬と猫と同じくらい違う、と書きました。ライオンとトラは、同じ哺乳類。犬と猫も、同じ哺乳類。対して、イモリは両生類、ヤモリは爬虫類。
全然違う!と思って頂けたでしょうか。
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絶海の孤島・北大東島でスタスタ歩く移入種ヤエヤマイシガメ
遭遇!日本のトカゲモドキ
爬虫類両生類を扱う当サイトにいらっしゃった皆さんは、ヒョウモントカゲモドキをご存知だと思います。レオパードゲッコー略してレオパとも呼ばれる、大きな瞳と多様な模様をもつやわらかい感じの皮膚が特徴的なトカゲの一種です。
ヒョウモントカゲモドキは、爬虫類には珍しく繁殖技術がある程度確立されています。このため、①養殖個体(CB)が広く流通している、②人口餌への慣れ、ハンドリング耐性など被飼育種としての適性を備えている、③模様など品種にバリュエーションがある、といった特徴があります。鳥でいえばジュウシマツ、小動物で言えばハムスター、草木で言えばアサガオのようなポジションでしょうか。
飼育設備として大きな面積を必要とせず、音を出して泣かない、強いにおいを発しないなどの理由から、都会でも多くの方に飼育されています。相当な人気種、爬虫類好きであれば誰もが知る有名種ですが、日本に近縁種のトカゲモドキが生息していることはあまり知られていません。
その日本在来のトカゲモドキを、某所で偶然みかけるという大変得難い経験をしました。トカゲモドキ目当てで探しに行ったのではなく、他目的で歩いていたらたまたま、です。
見かけた場所は、暗いところで、岩場の上でした。視界を横切った姿かたちは、青みがかったヒョウモントカゲモドキそのもの。ペットとしてのイメージがあまりにも強かったため、野生でみかけたことにびっくりしました。

動きはものすごく素早い訳ではありませんでしたが、カメラを構えて写真を撮ったりしているうちに、するすると消えて行きました。

一緒にいた生き物に詳しい方によると、○○トカゲモドキという日本の在来種とのこと。希少種であり、これを採集することは法に触れるそうです。ただ、高値で取引されるらしく、販売目的での採集が後をたたないとのこと。
取り締まりもあるそうですが、外国人(中国人が多いとのこと)だと見つかっても一発アウトとはならないケースもあり、半分見つかることを覚悟の上でその地域に来る人がいるそうです。生息地は、普通の外人がウロウロするようなところではありませんし、目立つと思うのですが・・・。
野生生物関連での事件といえば、「警視庁いきものがかり」というとても面白い本があります。「全国でもきわめて珍しい『希少動物専門の警察官』」である福原秀一郎さんという方が書かれた、爬虫類含む動物関係の事案を扱った事件簿のような本です。わたしはちょうどこの本を読んだ後に、トカゲモドキを目撃&取り締まりの話を聞いたため、一見のんびりとしたその生息地にもそんな世界があるのか、と妙にリアルに感じました。
※日本には、ヒョウモントカゲモドキの仲間として、クロイワトカゲモドキ、マダラトカゲモドキ、クメトカゲモドキ、イヘヤトカゲモドキ、オビトカゲモドキなどが住んでいます。いずれも希少な種類ですので、今回の記事では詳しい生息地や種名の記載は控えさせて下さい。
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干からびたミミズを食べるヒガシニホントカゲ【動画】
ニホンカナヘビより警戒心が強く、人間が近づくとすぐ隠れてしまうニホントカゲ。そのニホントカゲが夢中で餌に食らいついている場面を、東京23区内で撮影しました。
ニホントカゲ(ヒガシニホントカゲ)が食べていたのは、道路上で干からびたミミズ。アリがたかっていて動かない状態でしたが、くわえて飲み込んでいました。トカゲ類は動くものに反応して餌を食べますが、動かないものでもエサと認識するんですね。アリがたかっていたから餌と認識出来たのか、別の要因からエサと認識したのかはわかりません。
ニホントカゲは警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐ隠れてしまいますが、この時は餌への執着心が勝っていたようです。近寄っていくといったん隠れかけるも、エサのミミズのところまで戻ってきて採食。しゃがみこんで携帯を近づけて撮影しても、まったく動じませんでした。撮影後も、茂みに隠れることなく近くをウロウロしていました。
東京都内でみる野生の爬虫類両生類(市部にもいたアカガエル)
東京都内(奥多摩方面や島嶼地域でない市部)は、開発が進み人工物で覆われた、野生生物にとっては住みにくいところ。爬虫類両生類も、少なくとも私の住む地域では、アズマヒキガエルやニホンヤモリ、ミシシッピアカミミガメやニホンカナヘビなど、一部の都市部にうまく適応している種類以外を日常的に見かけることは難しくなってきています。アオダイショウ、ヒバカリ、ニホントカゲ、ニホンスッポンなどはまだまだ出会う機会もありますが、水田や湿地帯など水場を必要とする種類は、本当に見かけることが少なくなりました。
ただ、東京の市部からこういった爬虫類両生類が全く消え去ったのかといえば、そんなことはないはず。いるところにはいる、あたりをつけて探せばいるものです。そこで、爬虫類両生類が活発に活動しはじめる5月の上旬に、いそうな場所にあたりをつけて行ってみることにしました。
その「いそうな場所」ですが、今回は自然な水場と雑木林などが隣接している谷戸地形の場所を選びました。

谷戸とは、小高い丘や台地の麓にある、切り込まれて谷になったような地形を指す言葉。高低差がある土地ではよくみられることですが、地形に沿って水が流れ込んでいたり湧水があったりすることが多く、水が豊かで自然に囲まれた生き物にとって暮らしやすい場所です。
今回行ってみたのは、都内にいくつか残されている谷戸群のうちの一つ。そこには、ひとつの丘陵地の麓にいくつかの谷戸があります。地図を見ながら、水場がある谷戸ををピックアップして回ることにしました。
最初に行った谷戸は、谷間の先端の部分に池(おそらく湧水)があり、そこから水が流れ出しているかたち。池は、広葉樹が水面上に張り出していて、季節になればいかにもモリアオガエルが産卵に来そうな雰囲気です。

池から流れだす小川には、ヒキガエルのオタマジャクシが群れをなしています。例によって、アカミミガメもいました。



尾根をのぼって、次の谷戸まで移動します。ここは、田んぼと湿地帯がある最も有望な谷戸。田んぼは代掻きが終わって田植え前の状態でした。畔をあるいていると、カエルの鳴き声があちこちから聞こえてきます。声の主を探すのですが、見当たらず。




田んぼエリアをあとに、奥の湿地帯方面へと進みます。このあたりでウシガエルの鳴き声が聞こえましたが、姿はみえません。


すこし進んだ時に、初めてカエルらしきものを見つけました。

アカガエルです。
本州に住むアカガエルには、ニホンアカガエルとヤマアカガエルがいます。見分け方は、背中を通る二本の線がまっすぐなのがニホンアカガエル、肩のあたりで曲がるのがヤマアカガエルだそうです。
また、ヤマアカガエルは顎の縁に、黒い斑点があるとのこと。
同じカエルを陸で撮った写真で見ると、背中の線はわりとまっすぐに見えます。横からの写真をみても、顎に黒い斑点はありません。このカエルは、ニホンアカガエルである可能性が高いと思います。

同じ場所には、オタマジャクシが沢山いました。オタマジャクシとともに、他の生き物の幼生と思われるものや、エビもいます。すぐ近くに林があるので、生物相が豊かです。



さて、このあと周りの林の中を散策して戻る途中、畦道でヒバカリを見かけました。

茂みの上で日光浴をしていたものの、通りかかるとすぐに茂みのなかへ。写真は撮れませんでしたが、黒みが強く、太さが散水ホースくらいある、ヒバカリとしては大きい個体でした。
今回行った場所は、東京の市部。アカガエルやヒバカリといった都市部からいなくなった種類も、すこし歩いただけで見かけることが出来ました。やはり、里山の風景が残っているところは生物相が豊かですね。
数少なくなった、東京都内のこのような場所・このような場所の爬虫類両生類、しっかり守っていきたいと思いました。
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対馬・大陸とのつながりを感じさせるツシマスベトカゲ
長崎県の対馬に住む、ツシマスベトカゲ。日本の爬虫類両生類を幅広くカバーしている「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」に、珍しく写真が載っていない種類です。幸いにも、対馬にてその姿を目撃、写真に収めることができましたのでご紹介します。

対馬は、淡路島より広い面積を持つ大きな離島。細長い地形をもち、博多から130キロ、釜山から50キロの位置にあります。地理的な要因から、古来より大陸(韓国)の影響を常に受け続けてきた歴史を持ち、実際に訪ねてみると、現在でも身をもってそれを実感することが出来ます。
対馬に来る観光客は、釜山から船でたった40分という距離的理由もあり、日本人より韓国人の方が圧倒的に多いようです。大きなホテルは韓国資本によって運営され、市街には韓国人向けに日本の化粧品・日用品などを売る免税店が店を構えます。

韓国側の端には韓国展望所があり、天気の良い日は釜山の街並みがうっすらと見えます。展望所のすぐ前には、国境を守る自衛隊の基地が。ここでは、携帯の電波も韓国のものが入ります。

生態系も、大陸からの影響を受けています。有名なツシマヤマネコは、大陸のベンガルヤマネコの亜種。近年も、ツマアカスズメバチという大陸のスズメバチが外来種として流入し、大きな影響が生じています。
対馬は、もともとニホンミツバチの採蜜が盛んで、蜂蜜の名産地でした。専門の養蜂業者がいるというよりは、一般家庭において、蜂洞と呼ばれる中をくり抜いた木の株を置いて、蜂を呼び込んで蜜をとるという規模感で営まれてきました。



しかし、ツマアカスズメバチの侵入によってニホンミツバチが逃げてしまい、ハチミツがほとんど採れなくなってしまったとのこと。
もともとスズメバチは、ニホンミツバチの蜜や幼虫を狙って巣を襲います。これに対してミツバチは、集団でスズメバチを取り囲んで、自らの体温でもってスズメバチを蒸し殺すという方法で対抗していました。ただ、この方法が通用するのは在来のスズメバチだけ。ツマアカスズメバチにはこれが効かず、ニホンミツバチが大打撃を受けているそうです。
さて、そんな対馬で、幸運にも日本では対馬にしかいないツシマスベトカゲを見かけることが出来ました。目撃現場は、山の中の陽当たりがある石垣付近。

対馬は、もともと全体的に山がちな地形です。その山の中に、白村江の戦いのあと、韓国からの攻撃に備えて石塁が築かれました。この石塁は、国の特別史跡に指定されている貴重なものですが、長年の経過によりかなりの部分が崩れかかった状態です。

山の中の、崩れかかった石積み。石垣付近は木が切り開かれており、陽当たりもあります。まさに、ヘビやトカゲにとっては理想的な環境。そんな場所にいたところを撮ったのが下の一枚。

現場でみた時は、大きさが小さいこと、すぐに隠れてしまったことから、同じように金属光沢をもつ普通のニホントカゲと同じような印象しか残りませんでした。ただ、後から写真を見ると、鱗がきめ細やかで、真鍮のような鈍い光沢を発していて、ニホントカゲとは異なる外見ですね。背中と胴の側面の間に、黒っぽい線が入っているのも特徴的です。
参考のため、「ニューワイド学研の図鑑 爬虫類・両生類」における記載を抜粋しておきます。
・平地から山地にかけて対馬のほぼ全域に分布し、石の下やたおれた木の下、落ち葉の中などで見ることができます。昼行性で小さな昆虫を食べます。
近年まで対馬固有種と考えられてきたツシマスベトカゲ。最近、朝鮮半島にも分布していることがわかってきたようです。爬虫類として、大陸との中継地点であり続ける対馬を象徴する存在といえますね。
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野生のアカハライモリを尾瀬でみる
尾瀬は、群馬県・福島県・新潟県に跨がる、周りを山で囲まれた広大な湿原。たどり着くのが大変な奥深い場所にあることや、人間による農業利用等に適さない湿地帯であること、長い冬場の気象環境が厳しいことなどから、あまり人の手が入らない状態で残されてきました。

20世紀に入ってから、周りを高い山で囲まれた地形を利用して発電用のダムとして開発する話が進んだものの、貴重な湿原としての意義が認められて計画は見送りに。以後は国立公園に指定され、守るべき自然環境としてしっかり保全された場所となっています。
(さらに…)房総半島でみたヘビ・カエル・トカゲ

千葉県の房総半島は、温暖な気候に恵まれた自然豊かな地。都心からの距離はそれほど遠くありませんが、野生の猿の集団が出没したり、キョンという犬くらい大きさの外来種のシカが繁殖したりするなど、大型哺乳類が生息できる環境があります。
そんな房総半島を歩いてみたところ、多くの爬虫類両生類と会うことができましたのでご紹介します。
今回行ったのは、房総半島の真ん中あたり。千葉県にはあまり高い山はありませんが、房総半島は低山のかたまりのような場所で、中央部には尾根が絡み合ったエリアがあります。
そういった尾根のうち、整備されたルートを歩きました。両側の斜面はかなり急で、低山の登山道といった雰囲気です。

しばらく歩いていくと、山中の道路に出ました。日当たりのよい道路の路肩を歩くと、すこし進むたびにカサッ、カサッという音が。ニホンカナヘビです。じっくり見ていると、ニホントカゲも。いい日光浴スポットなのか、両者ともかなりの密度でいるようです。



しばらく道路に沿って進んでいくと、道路脇に下の川に降りる道筋がありました。

下っていくと、河原に出ます。深くはありませんが、底がはっきり見えるような清流です。

川沿いを上流へむかって歩いていると、足元から川へポチャンと飛び込む音が。ある地点でそれが2、3回続いたので、進むのをやめてあたりを見回したところ、親指サイズの黒いカエルがいました。ツチガエルです。写真を撮っていると、脇に別のカエルが。今度は、小指大サイズです。



しばらく川にとどまっていると、きれいな鳴き声が聞こえてきました。清流できれいな鳴き声と言えば、カジカガエルです。見通しはいい川なので、声のする方を目で探すのですが、なかなか見つかりません。
川岸から、より流れに近い岩の方に近づいてみました。岩に乗り移って、ふと川の中をみると、何かの卵らしきものを発見。タピオカの半分から3分の2くらいの大きさの卵が、板状に固まった状態で水の中にありました。後で調べたところ、カジカガエルの卵のようでした。カジカガエルの卵は石に産み付けられるそうですが、ここで見たものは川底にくっついてはいませんでした。

さて、カジカガエルの声が近くで聞こえるので、引き続き川岸を捜索していると、岩陰ですごいものを見つけました。


ヒバカリです。カエルを食べに来ていたのでしょうか。ゆっくりと、岩陰の方に入っていきます。申し訳ないですが、岩陰に隠れた姿をフラッシュ撮影したあと、引っ張り出してしまいました。


さて、この場所での観察は一区切りつけて、少し離れた川原に行ってみます。ここでは、カジカガエルと、別のカエルの声がします。
川沿いを歩いていると、例によってポチャンという音が・・・。のぞき込むと、やや大きめ、鶏卵サイズのカエルが水中に見えます。


谷の陰になったあたりでも、足を進めると何匹かカエルが跳びこみます。目では追えるものの、人差し指サイズが1メートル以上先まで行ってしまうので、なかなか種類まではわかりません(おそらく、ツチガエルです)。



そんな中、親指サイズが動くのが見えました。しかも、近づける場所にいます。


カジカガエルです。そっと近づいても、動きません。カメラで接写しても動かず。


なんども撮っていると動くのですが、動いても、少しずつなんですね。声だけでなかなか姿を確認できなかったカジカガエル、すこし粘ったおかげで、卵とともに姿も間近で確認出来ました。
さて、川からあがり、登山道(ハイキングコース)を歩いたあとの帰る途中。

田んぼがある開けた場所にでました。田んぼからカエルの鳴き声がするので、ちょっと覗いてみたところ・・・。

すごい量のオタマジャクシがいます。田植えから少し経った状態の田んぼにも、水をためてある池にも、排水路にも、たくさんいます。大きさは小指の先くらい。動きははやく、そばを歩くと結構なスピードで逃げますが、何のオタマジャクシかはわかりません。
田んぼからは、カエルの鳴き声がやみません。例によって姿が見つけられないので、声のする方に行って見ました。すると・・・用水路を挟んだ法面に、小さめのヤマカガシが!


写真を撮ろうとそばによると、法面を横に移動して茂みに入ってしまいました。ヤマカガシはカエル食のヘビです。これだけカエルの声がして、たくさんのオタマジャクシがいれば、やってきますよね。

鳴き声の主を見ようとウロウロしていると、足元で動くものを発見。かわいいアマガエルでしたが、これは鳴き声の主ではなさそうです。


さて、今回は、半日歩いただけでかなりの種類の爬虫類両生類を見ることができました。都心から少し離れただけで、これだけの密度の自然。カジカガエルがいた川原では大型哺乳類の骨や足跡を見ましたし、山の尾根道では哺乳類の糞をみました。
房総半島は、東京からだと充分日帰り圏内。少し早起きして、もしくはゆっくり一泊二日で足を延ばせば、密度の濃い自然と触れ合える場所だと思いました。
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晩秋の大分のお寺で不意に遭遇したニホンマムシ
皆さんは、野外で毒ヘビに遭遇した経験をお持ちでしょうか。お持ちの方は、初めて野外で毒蛇に遭遇した時のことを覚えていますでしょうか。

私は都市部に在住しているため、ふだんそれほど野生のヘビと接触する機会はありません。それでも、日常生活において(ヘビを探しにいったシチュエーションでない場合において)何度か野外でヘビを見かけた経験があります。
いくつか覚えている経験をあげると・・・
(さらに…)天城山でみたモリアオガエルの卵塊
モリアオガエルは、日本に生息する樹上性のカエル。樹上性のカエルとは、発達した吸盤を頼りに生活の大部分を木の上ですごすカエルのことで、ツリーフロッグとも呼ばれます。ペットとしては、イエアメガエルやアカメアメガエル、ソバージュネコメガエルなどが流通。形や色が美しい種類が多く、植物を利用した立体的なレイアウトの中にいるのを目にすると、じっと見入ってしまうような魅力的なカエルです。

ただ、この種のカエルは、 (さらに…)










