絶海の孤島・北大東島でスタスタ歩くヤエヤマイシガメ

「絶海の孤島」という表現があります。沖縄県の大東諸島は、まさにその表現が当てはまる、周りに何もない海の真っただ中にある島です。

上空から見た北大東島

沖縄県の離島といえば、沖縄本島の周辺の島や、沖縄と台湾の間にある宮古諸島、八重山諸島などが有名です。大東諸島(普通の人が行けるのは、南大東島と北大東島のみ)は、これらの島々とは離れた東方向にあり、沖縄本島から300キロの位置にあります。ちなみに、周囲300キロに陸地はありません。

大東諸島への交通の便は、飛行機は那覇→南大東→北大東→那覇を結ぶ路線が出るのみ。隔日逆回りで運航されていて、那覇からは1時間くらいかかります。船も、那覇の泊港から一週間ほどかけて往復する生活物資の運搬を担う船が一隻あるのみ。絶海の孤島ゆえ、非常に波が荒く着岸できなず、乗客の乗り降りは人間が入ったカゴをクレーンで吊り上げて移動させる形をとります。

隔絶された環境ゆえ、生態系も独特のものがあり、空飛ぶ大型哺乳類のダイトウオオコウモリや、足が短い大東犬が有名です。大東犬は、独自の生態系というより、移入された犬が血が濃くなって特徴がでたのだと思いますが。

ダイトウオオコウモリ

そんな大東島(北大東島)を車で走っていると、道路上でカメが歩いているのを見かけました。

路上を歩く北大東島のヤエヤマイシガメ1

見かけた場所は、集落に近くサトウキビ畑に近くちょっとした茂みにも近いというアスファルト上の道路。水場は近くにありませんでした。観察しようと車を降りると、走る走る。一回持ち上げてまた道路に放すと、すぐに走って移動します。野生のカメは、一回持ち上げると、首を引っ込め手足を引っ込め、それこそお地蔵さんのように数十分も動かなくなる場合も多いのですが、このカメは全く逆でした。

路上を歩く北大東島のヤエヤマイシガメ2路上を歩く北大東島のヤエヤマイシガメ3路上を歩く北大東島のヤエヤマイシガメ4路上を歩く北大東島のヤエヤマイシガメ5

大東島は、飛行機の上から見ると起伏がない平べったい島です。実際に降り立ってみると、海と陸の境目は険しい崖になっており、島を取り巻くように高さ数十メートルほどの衝立のような巨大な土手状の盛り上がりがあります。大東諸島では、これを長幕と呼んでいます。ただ、その長幕のなかは基本的に平坦な土地で、大部分はサトウキビ畑になっています。

大東諸島は、もともと無人だったところに八丈島から開拓民が移住したという歴史があり、リン鉱石採掘や製糖といった産業とともに歩んできた島です。他の沖縄の島と雰囲気はだいぶ違い、「勤勉」「組織」といった言葉が似合う印象があります。島の土地の大部分が、サトウキビ畑として整備されているのも何となくわかります。

北大東島の景色

それゆえ、奄美大島などのように森林地が多いとか、奥深いところがたくさんある訳ではありません。ただ、長幕の部分は本格的な整備を免れているほか、島の中に水場があり、そういう場所には自然が残っています。

サトウキビ畑と長幕

整備が進んだ大東諸島は決して爬虫類・両生類の宝庫ではありませんが、ちょっとした沼には数匹のカメがいました。

沼のヤエヤマイシガメ1沼のヤエヤマイシガメ2沼のヤエヤマイシガメ3ヤエヤマイシガメが住む沼

路上でみかけたカメも、沼のカメも、日本の爬虫類両生類飼育図鑑でみると、ヤエヤマイシガメではないかと思います。国立環境研究所の侵入生物データベースによれば、北大東島の個体は移入種の模様。大東諸島には、このほかにも悪名高い移入種のオオヒキガエルが大量に繁殖していて、あちこちで見かけるようです。爬虫類以外にも、もともといなかったキジが住み着いています。

北大東島のキジ

大東島で見かけた、固有種のダイトウオオコウモリと移入種の動物たち。大東島が、隔絶された島であり、整備された開拓の島でもあることを感じさせてくれました。

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