静岡県は、爬虫類両生類関連施設の充実度では日本トップクラスのエリア。iZooを擁する伊豆は聖地とも言える場所ですが、伊豆から少し離れた静岡市にもいい施設があります。
日本平動物園爬虫類館です。
目次
日本平動物園への行き方、アクセス
日本平動物園がある日本平は、駿河湾を望む標高300メートルほどの丘陵地。久能山東照宮があり、ロープウェイが通っているような場所です。
静岡市内ではありますが、最寄り駅から徒歩で行くロケーションではありません。
公共交通機関で行くならば、東静岡駅と動物園入口を結ぶバス2路線が利用可能。うち1路線は、静岡駅からも利用できます。
車だと、東名高速道路のICから近く、駐車場もありますので便利です。東名ハイウェイバスの東名日本平バス停から徒歩10分という、裏技的な行き方もあります。
爬虫類展示のために設計された、明るい雰囲気のデザイン
日本平動物園は小高い場所にあるため、園内は傾斜がある地形です。動物園入り口から緩やかな登り坂を進んで行くと見えて来るのが爬虫類館。
奥に回って建物入口を入ると、壁面のガラスから自然光が入る明るい空間が広がっていました。中央は吹き抜けとなっていて、下のワニ・クチヒロカイマンを上から眺めることができます。
このフロアは、生体がたくさん並ぶという感じでなく、ナイルオオトカゲとオオアナコンダの飼育スペースがあるのみ。爬虫類飼育設備としては、かなりデザイン面に配慮されている印象です。
ただ、この建物、建築デザイン優先でもなく、機能性のみ追求型でもありません。一定のデザイン性をもちつつ、地形をうまく利用し、かつ爬虫類飼育専用の設計がなされた建物です。以下、階段をおりて本丸部分を見ていきます。
様々なカメの多頭飼い環境が、どれも凄い
日本平動物園の展示で特に印象に残ったのは、カメを多頭飼い・多種類飼育するいくつかのケージが、どれも素晴らしい環境だったこと。
最初に出てきたのは、陸にも上がるが水中にも入るグループのケージ。よく水にはいる種類のカメと、ほとんど入らない種類のカメが広いスペースに同居しています。
飼育されていたのは、
- ガルフコーストハコガメ
- ヨツメイシガメ
- ミツユビハコガメ
- セマルハコガメ
- ノコヘリマルガメ
- マレーハコガメ
ケージはL字型で横に長く、生体が眺めやすい構造。手前に水場、奥に陸地があり、いずれも適度な奥行きがあります。水棲傾向が強い種も、陸棲傾向が強い種も、水陸それぞれのスペースに陣取って上手く棲み分けています。
水場には新しい水が常に供給されていて、綺麗な状態に保たれています。造り付けの床面は適度なザラつきをもつ材質で、水陸のつながりのつくりも理想的。メンテナンスもしやすそうです。
セマルハコガメがほとんど水中にいたのは意外でした。陸棲傾向の強い種とされ、他の飼育施設でも広くて深い水場をもつケージで飼われるケースは少ないと思います。こうやって環境を用意してやれば、意外な姿をみることができることがよくわかります。
一方、水場メインで活動するグループは、深さのある水槽で飼育。大きさの違うスッポンモドキはフェンスで区切られた専用スペースに、その他の
- カブトニオイガメ
- チリメンナガクビガメ
- ニシキマゲクビガメ
は一つのスペースに混泳させています。
混泳水槽は、深さを十分確保しつつ、奥行きがあり過ぎない造りなので、個体が泳ぎまわる姿が間近でよく見えます。
水棲系カメはこのほかに、
- ワニガメ
- カミツキガメ
- フロリダスッポン
が飼育されていました。
スロープがぐるっと一周、中大型リクガメ飼育スペース
さて、日本平動物園爬虫類館で感じた、
- サイドのガラスから自然光を取り入れた明るいデザイン
- 爬虫類飼育専用の設計
というコンセプトが最もよく現れていたのが、中・大型のリクガメを複数飼育するスペース。3面ガラス張りで、屋外からも含めて3方向から眺められるようになっています。
飼育場は、壁面ガラスを通して外の光を採り入れた広いスペース。このスペース内をぐるっと取り巻くようにスロープがつけられています。
床を動きまわるカメにとって、ケージは底面積が重要です。スロープによって同じ空間に床が複数用意され、広さが確保された上に立体感のあるレイアウトとなっています。
スロープはガラス面の壁面を取り巻くように作られていますから、スロープ上のカメは間近で見ることができます。また、地面にいるカメは見下ろす形で、スロープ上のカメは横から眺める形での鑑賞が可能。
ここで飼育されていたのは、
- ホウシャガメ
- キアシガメ
- ケヅメリクガメ
- アカアシガメ
- ヒョウモンガメ
スロープの上を動くホウシャガメや、水場に浸かるアカアシガメなど、それぞれの生き生きとした姿が印象的でした。
お手本にしたい外飼い設備、クサガメ・ニホンイシガメ飼育場
日本でお馴染みの水棲ガメであるクサガメ・ニホンイシガメをどう見せるかは、爬虫類展示施設のカラーが出るところ。身近な家庭用水槽での姿を見せるもよし、館内の大型水槽で生息環境を再現するのも良し、野外の外池で飼うのもよし。
日本平動物園では、庭がある家庭で少し頑張れば造れるような飼育設備を、爬虫類館出口につくっていました。この手の設備のお手本のような飼育場でしたので、別記事で詳しく紹介します。
カメ以外も、ラインナップは充実
さて、ここまでカメの飼育スペースばかり紹介してきましたが、日本平動物園爬虫類館はカメだけにウエイトを置いた施設ではありません。カメのほかにも、
- グリーンイグアナ
- コルデンシスツリーモニター
- カーペットニシキヘビ
- ボアコンストリクター
- コロンビアレインボーボア
- ミドリニシキヘビ(グリーンパイソン)
- チュウゴクワニトカゲ
- テキサスラットスネーク”リューシスティック”
- ビルマニシキヘビ
- ヒガシアオジタトカゲ
- フトアゴヒゲトカゲ
- カルフォルニアキングヘビ
- アカダイショウ(コーンスネーク)
- ボールニシキヘビ
- シナロアミルクヘビ
などが飼育されていて、バランスが取れた展示でした。最後の日本産種のコーナーには、
- ニホンヤモリ
- アカハライモリ
- ヒガシニホントカゲ
- アズマヒキガエル
- アオダイショウ
- シマヘビ、カラスヘビ
- ジムグリ
がいました。
日本平動物園の爬虫類館は、爬虫類展示のために設計された専用建物。壁面のガラスから自然光をふんだんに取り入れる明るい雰囲気のなか、よく管理された広い飼育スペースで過ごす生体を見ることができます。生体の種類も充実していて、爬虫類愛好者には必見のスポットといえます。