「爬虫両生類飼育図鑑」は、テレビ出演で有名だった爬虫類・両生類の大家、千石正一先生が書かれた本。
本の大まかな構成は、
- 個別種をカタログ形式で紹介
- 爬虫両生類全般についての飼育総論
- カメ、カエル、トカゲ・・・といったグループごとの飼い方
となっています。
1の個別種紹介ページは、写真と飼育上の注意点などのコメントからなります。紹介される種類は外国種が中心であるものの、一部日本産種も記載。紹介される種類の数はすごく多い訳ではありませんが、比較的ヘビの数が充実していると思います。一般家庭での飼育に適さないと思われるワニ(コビトカイマン、メガネカイマン)やタイワンコブラ、ニホンマムシ、ガラガラヘビの一種なども、あえて紹介しているのが特徴です。
2が、この本の白眉。爬虫類両生類の生活を左右する環境因子についての記載からはじまり、飼育設備、餌、日常管理、入手、繁殖といった項目について、筆者自身の言葉で論じていきます。
環境因子の項では、トカゲの飼育でなぜホットスポットを作ることが重要なのかの解説があったりとか(目から鱗でした)、飼育設備の項ではひとつひとつの設備・器具・道具について細かく論じていたりとか、全般的に内容は充実しているのですが、なんといっても圧巻は餌についての項。
生き餌は、21種類+その他の生き餌という形で22項目の、代用食は13(種類)の項を立てています。生き餌については、その特徴やメリットデメリットに加え、エサ自体の入手方法・飼育方法・繁殖方法も記載。とにかく中身が具体的で詳しいです。文中に、
爬虫両生類を飼うというのは、その餌動物も飼育することとほぼ同じことになる。
という一文があるのですが、本当にそこまでカバーされた内容でした。
3は、2の項を踏まえたうえでグループごとに内容をカスタマイズし、掘り下げた項。
同じ千石先生が監訳した「Q&Aマニュアル爬虫両生類飼育入門」も素晴らしい良書ですが、原書が外国の本ですので、器具の具体例などがやや外国っぽかったりします。その点、この本は日本人である千石先生が書かれた本ですので、具体的な各項目も日本人からみて違和感のない内容。現在爬虫類両生類を飼育されていて、拒食や栄養、入手の面などでエサに苦労している方には、特にお勧めです。