茨城県日立市と言えば、大手メーカーの企業城下町として有名。太平洋に隣接した海沿いの街で、意外にもウミウの産地だそうです。日本各地で見られる鵜飼のウは、日立市から来ているのだとか。
そんな日立市の動物園に、ウ(鵜)と爬虫類を展示する施設があります。その名も、はちゅウるい館。面白そうなので、行ってみました。
目次
かみね動物園はちゅウるい館への行き方、アクセス
かみね動物園は、日立市の神峰公園という公園の中にあります。最寄り駅は、常磐線の日立駅。駅から公園の入り口までバスが出ていますので、これに乗って行くのがおすすめです。
公園入り口のバス停は、「神峰公園口」。ここから動物園の入り口までは、3分もかかりません。
入り口で入場料を払って園内順路を進むと、はちゅウるい館の建物はすぐ。建物の前では、何匹かのリクガメが動き回っていました。
屋外屋内を自由に出入り出来るリクガメ飼育スペース
リクガメがいたのは、はちゅウるい館建物前の屋外飼育場。アルダブラゾウガメ、ケヅメリクガメ、ヒョウモンリクガメが放されています。地面が園路より高い上、柵が開放的で、カメの姿が間近でよく見えます。
屋外飼育場は、まさにこういう大型種はこういう環境で飼いたいよね、という見本のような環境。一定の広さが確保されていて、建物に隣接しているため日当たりがよい場所と日陰になる場所が両方あります。床面は土となっていて、芝生部分もある自然な雰囲気。
カメたちは、エサの青草を食べたり動き回ったりしています。動き回るのは屋外ばかりでなく、見ていると建物のドアから屋内に入ったり出たりしています。
屋内は、と中に入ってみると、保温設備・照明(紫外線)設備が完備された屋内飼育場が、ガラス越しに見えるしくみ。冬は外に出せないでしょうから、ここで飼育・展示しているのでしょう。
この屋内飼育場は、全面ガラス張りで見やすく、広くて立派。ヒョウモンガメ、ケヅメリクガメを飼うなら、これくらいは用意したいという理想形がここにありました。
爬虫類展示用として設計された充実の飼育施設
かみね動物園はちゅウるい館の建物は、二階建て。真ん中に吹き抜けの飼育スペースがあり、それを通路が丸く取り囲んでいます。通路に沿って、外側にも展示が並びます。
この建物、爬虫類を展示するという視点からよく考えられた設計。個々のケージレイアウトにも、それがきちんと反映されています。
例えば、飼育ケージの床面の高さ。アカアシガメは歩き回る姿が見えるよう、地面の位置が高め。
スッポンモドキ、ヒラリーカエルアタマガメは、奥行きを短くして、上から下までの水位の高さを確保した水槽。水中で泳ぐ姿が間近で見られます。
クチヒロカイマンは、水に浮かんでいる時の水中での様子と、陸に上がった時の様子が両方見やすい構成。吹き抜けのケージなので、上からも見られます。
樹上性のインドシナウォータードラゴンは、吹き抜けの特性を生かして一階二階をぶち抜いて樹木を配するスペースにいました。
爬虫類関係施設とはいえ、箱物の建築には当然制限が付きものです。ここまで爬虫類展示本位で設計され、かつそれを実際に上手く運用している場所はそうありません。
ベーシックな種類に加えて、プラスアルファが揃う
さて、このかみね動物園はちゅウるい館、動物園自身による紹介文をみると、飼育動物のラインナップについて以下のように書かれています。
- 職員のアイデアから生まれた「はちゅウるい館」ですが、ここでしか見られなかったりとても貴重な爬虫類を集めた施設ではありません。~中略~ペットショップなどでも入手できそうな一般的な動物を取りそろえた次第です。マニアの方には物足りないコレクションだと思いますが、爬虫類の基礎講座みたいな感覚で楽しんでいただけたらと思います。
訪問日に展示されていた種類は、
- アルダブラゾウガメ
- ケヅメリクガメ
- ヒョウモンガメ
- ヘルマンリクガメ
- ヨツユビリクガメ
- ビルマニシキヘビ
- コーンスネーク
- ミルクスネーク(ミルクヘビ)
- ミドリニシキヘビ(グリーンパイソン)
- エメラルドツリーボア
- ボールニシキヘビ(ボールパイソン)
- ヒガシアオジタトカゲ
- フトアゴヒゲトカゲ
- ノドジロイワオオトカゲ
- インドシナウォータードラゴン
- モエギハコガメ
- マングローブオオトカゲ
- ミヤビキノボリトカゲ
- ヒョウモントカゲモドキ
- ヨーロッパアシナシトカゲ
- アカアシガメ
- グリーンイグアナ
- ミズオオトカゲ
- カミツキガメ
- ミシシッピアカミミガメ
- スッポンモドキ
- ヒラリーカエルガメ
- クチヒロカイマン
- ボアコンストリクター
- シマヘビ
- アオダイショウ
- ジムグリ
- アオカナヘビ
- ニホンヤモリ
- ヒガシニホントカゲ
- ニホンカナヘビ
- クサガメ
- ニホンイシガメ
- アズマヒキガエル
- アカハライモリ
などなど。
なるほど、爬虫類飼育の教科書に出てきそうなラインナップは、一通りきちんとおさえられています。
それだけでも素晴らしいのですが、所々に、これはあまり見かけないという種類も含まれています。例えば、マングローブオオトカゲ。
他にも、収斂進化に触れた上でエメラルドツリーボアとグリーンパイソンが並べて展示されていたり、工夫が随所にあります。物足りない感じは全くしませんでした。
かみね動物園はちゅウるい館は、近隣エリアに大規模爬虫類関係施設がない茨木県付近にあって、充実した飼育設備で一通りのラインナップが見れる施設。近隣県の方はもちろん、東京圏在住者にもおすすめできる場所でした。