静岡県・伊豆半島の小さな島に、世界中から多くのカエルを集めた施設があります。展示されているカエルの種類は、日本最大級。カエル好きには外すことのできないスポットですのでご紹介します。
目次
あわしまマリンパークカエル館への行き方、アクセス
あわしまマリンパークは、伊豆半島の東側の付け根に位置する島「淡島」にある水族館。公共交通機関で行く場合は、東海道線の沼津駅からバスにのって約30分、海沿いのバス停「マリンパーク」で降ります。バス停の目の前があわしまマリンパークの駐車場で、駐車場の奥に入場券売り場があります。
淡島は、島といっても陸から泳いでいけるくらいの距離にあり、対岸からすぐ目の前に見えます。ただ、橋はかかっていないため、船に乗ってしか行けません。ちなみに、船の料金はあわしまマリンパークの入場料に含まれています。
チケット売り場脇の乗船所から船に乗ると、ほんの2,3分で島の桟橋へ。桟橋を上がって左側に進み、水族館の建物やショーの設備を通り抜けてしばらく歩くと、カエル館の建物が見えてきました。
一つの部屋の中に84種類、たくさんのカエルが
カエル館の建物に入ると、ケージがズラッと並んでいます。部屋の形が凸字型だったので全体が見渡せるような写真はありませんが、基本的にひとつの部屋の中にすべてのカエルが展示されていました。展示ケージが上下二段に並んでいる壁があって、割と密度は濃い感じ。
部屋自体は決して広くはありませんが、飼育する種類は多く、実に84種類にのぼります。ちなみにこの84種類という数は、私が訪問した日に数えることが出来た種類数。ケージ内で隠れていた種類もありますので、もちろん全種類を見たわけではありませんが、キャプションがあったものは基本的に拾っています。このあと記事の最後のほうに、把握できた限りの種類名を記載しますのでご覧ください。
カエルのケージは、一般的に入手可能なものも多い
一般飼育者にとって参考になると思ったのは、飼育設備の使い方。このカエル館は、建物造りつけの専用飼育設備ばかりでなく、一般飼育者でも入手できそうな普通のケージ等を使った展示が多くあります。個人が爬虫類両生類を飼育する場合、配管・排水や温湿度・光熱管理などに多額の費用をかけて専用の工事をすることは難しいのが普通。一般的に購入できる資材でいかにプロの飼育環境を再現するか、ここで学べることは多いと感じました。
エサは、小さなサイズのコオロギがいるのが確認できました。展示されている種類は2、3センチくらいの小さな種類が多かったので、エサの管理は大変だと思います。
ここでしか見られない珍種「リオペスカドフキヤガマ」
「エクアドルの標高350~650メートル地点の熱帯湿潤林河川沿いの茂み」にしかいない種類で、かつて絶滅したと考えられていたものの、再発見されたという珍しい種類。鳴き声でなく、前足を動かす手信号で縄張りの主張や求愛を行うそうです。世界の動物園水族館でもここでしか見られず、繁殖を目指しているとか。小指の指先サイズの小さなカエルですが、大きな水槽で飼われており、力をいれているのが感じられました。この日は、ケージ内の流木やポトスの葉の上を元気に動き回っていました。
種類が多いヤドクガエル、ケージのレイアウト傾向は?
ヤドクガエルは、カエル館のなかでも特に種類が多く、14種類が飼育されていました。
ケージは、熱帯魚の濾過などに使う軽石系の材料の上に、ソイル系もしくは赤玉土の床材を敷き、観葉植物を配すつくりが基本。背面にかけて高さを出し、ケージ内に高低差をもたせるよう配慮されていました。水場の面積はケージによってはほとんどないものの、表面は常に濡れている状態。上部に散水設備がついているケージも多かったように思います。内部の材料はこのほかに、流木やコルクバーグ、ウイローモスやミズゴケなどを使用。プラスチックの配管を切ったものが入っているケージもありましたが、シェルターでしょうか。
カエル館で繁殖したカエル
カエル館には、カエル館で繁殖したカエルが何種類かいました。ムシクイオオクサガエルとアカミオオクサガエルは、訪問日の前年にカエル館で生まれた個体とのこと。
ヴァレリオアマガエルモドキは、腹部が半透明で内臓が透けて見えるという2センチほどのカエル。植物の密度の高い、大きなケージで飼育されていたため親ガエルは見つけられませんでしたが、オタマジャクシの泳ぐ姿が見られました。カエルは3匹いるとのことですので、ここで生まれたものと思われます。親と一緒で、半透明で内臓が見えるおたまじゃくしでした。
このほか、館内には、ステルツナーガエルというカエルが繁殖した際の記事が貼り出されていました。展示されていた個体は、黒地に黄色の斑点をもつ小指サイズのカエルでした。
見れたらラッキー?「普段は土に潜っている」姿をそのまま展示
カエルは、完全に水中で暮らすものから、渓流沿い、河口、高地、森、樹の上などその生息環境にかなりのバリュエーションがあります。カエル館のケージレイアウトも、これに応じて様々なバリュエーションがあったのですが、なかでも特徴的だったのが、普段は土に潜って暮らす種類のケージ。
カエル館で展示されていた土に潜る種類は、
- かかとにある突起を使って土に潜るというウブスキアシガエル
- 雨季になると土から出てきて水中で泡の巣を作って産卵するコロンビアヨツメガエル
- オリーブサンバガエル
- アミメスキアシヒメガエル
など。いずれのケージも、中を見てもカエルの姿は見えず、何もいない空のケージに見えます。
形態や行動が特徴的なカエル
この他、カエル館には
- 鳴き声がカナリア・ネコ・吠えるような声のようなカエル
- 木から木へ滑空するため水掻きが発達しているカエル
- 白から茶へと体色の変化が激しいカエル
- 水分の蒸発を防ぐため自分の体にワックスを塗るカエル
- 前足から後ろ足部分が鮮やかなトラ柄のカエル
など、面白いカエルがたくさん展示されていました。
【展示されていた種類リスト】日本産種はサドガエルや沖縄産種も
最後に、このカエル館でこの日展示されていた種類を列挙します。
- ベトナムコケガエル
- ミツヅノコノハガエル
- ナミシンジュメキガエル
- キンメツブハダキガエル
- アワレガエル
- ユンナンフトコノハガエル
- カリンフトコノハガエル
- メキシコサラマンダー(ウーパールーパー)
- ムシクイオオクサガエル
- アカミオオクサガエル
- スパーレルアカメアマガエル
- フタイロネコメガエル(ジャイアントネコメガエル)
- アカメアマガエル
- リオペスカドフキヤガマ
- ブラジルツノガエル
- ベルツノガエル
- クランウェルツノガエル
- チャコガエル
- ニホンアマガエル(アルビノも)
- ツチガエル(アルビノも)
- ヌマガエル
- サドガエル
- コバルトヤドクガエル
- マダラヤドクガエル
- ビッタタスフキヤガエル
- アシグロフキヤガエル
- アウロタエニアフキヤガエル
- アイゾメヤドクガエル
- セマダラヤドクガエル
- キオビヤドクガエル
- ウアカリヤドクガエル
- ラマシーヤドクガエル
- フラボビッタタスヤドクガエル
- イチゴヤドクガエル
- イミテーターヤドクガエル
- ベントリヤドクガエル
- トラフフリンジアマガエル
- ケンランフリンジアマガエル
- ワキモントビガエル
- ヒスイトビガエル(マレートビガエル)
- クツワアメガエル
- アフリカツメガエル(アルビノも)
- ヴァレリオアマガエルモドキ
- コロンビアヨツメガエル
- コモリガエル(ヒラタピパ )
- ウブスキアシガエル
- インバブラアマガエル
- ホエアマガエル
- ナンブヒキガエル
- ソバージュネコメガエル
- テヅカミネコメガエル
- トラアシネコメガエル
- レムールネコメガエル
- テキサスミドリヒキガエル
- アメリカアマガエル
- ミドリヒキガエル
- リオバンバフクロアマガエル
- サンルーカスフクロアマガエル
- ジュウジメドクアマガエル
- ステルツナーガエル
- フトアマガエル
- オリーブサンバガエル
- サビトマトガエル
- モモアカアルキガエル
- セネガルガエル
- ミナミヘラクチガエル
- ガラガラアマガエル
- モザンビークオオクサガエル
- アミメスキアシヒメガエル
- バロンアデガエル
- ワカバアデガエル(ミドリアデガエル)
- キンイロアデガエル
- マハジェンガアデガエル
- リュウキュウカジカガエル
- サキシマヌマガエル
- ヤエヤマアオガエル
- カジカガエル
- トノサマガエル
- ナゴヤダルマガエル
- タゴガエル
- ヤマアカガエル
- シュレーゲルアオガエル
- モリアオガエル
- アズマヒキガエル
- ミヤコヒキガエル
- ナガレヒキガエル
東海地方の施設でありながら、日本産種は南方のヤエヤマアオガエルやミヤコヒキガエル、サキシマヌマガエル、リュウキュウカジカガエルまでカバーしています。佐渡島のサドガエルもいました。
あわしまマリンパークカエル館の感想まとめ
あわしまマリンパークカエル館は、世界のカエルが一堂に集まるカエル好きには必見の施設。このサイトは爬虫類両生類専門のため触れませんでしたが、隣接する水族館で見た、魚を自家採集する過程の展示やイルカショーなどもとても面白かったです。東京名古屋間、東京大阪間を移動する方は、時間をつくって立ち寄ってみてはいかがでしょうか。