皆さんは、キノボリトカゲ(オキナワキノボリトカゲ)というトカゲをご存知でしょうか。
関東圏出身の方の場合、子供の頃から慣れ親しんだ身近なトカゲというと、①草むら近くで日光浴をしているニホンカナヘビ、②夜、蛍光灯で照らされた白い壁に張り付いている二ホンヤモリ、③幼体のブルーの尾が美しいメタリックなニホントカゲ、ではないでしょうか。いずれも、姿かたちとしては装飾的要素がなくシンプルな種類です。
逆に、姿かたちが特徴的なトカゲといえば、エリマキトカゲやカメレオンといった外国種が思い浮かびます。グリーンイグアナなんかも、エリマキトカゲやカメレオンほどではあないものの、背中にたてがみがついていたり、首回りに装飾があったりします。身近な種類があまりにシンプルであり、逆に海外種として知っている種が特徴的な姿かたちを持つがゆえ、私には何となく、シンプルな姿かたちでない種類=外国産種というイメージがありました。
それだけに、キノボリトカゲを初めて日本の野生の状態で見た時、日本のトカゲにもこんなかたちのものがいるんだなとびっくりしました。図鑑で見たとか、希少種を山奥まで探しに行って見た、というならともかく、そこらへんで見かけたので。ただ、そこら辺といっても沖縄県の久米島です。
念のための補足すると、キノボリトカゲは久米島でしか見られない種類ではありません。沖縄では本島含め一般的な種で、近年では国内移入種として鹿児島や宮崎などにも定着しているようです。さすがは南方ですね。こんな種類が普通に身近にいるんだ、この地域の爬虫類好きの子供がうらやましいな、と思いました。
さて、そのキノボリトカゲですが、グリーンイグアナを手のひらサイズまで小さくしたような形をしています。
みかけた環境は、テニスコートより小さいくらいの、まわりに比べて少し窪んだ土地でした。周りから生える樹木が覆い繁るも、覆いつくされて林の中となる訳でなく、空が見える状態になっていました。地面にしゃがんでいくつか落ちていたカタツムリの殻を見ていたところ、近くの草の上にささっと動くものを発見。
こちらは息をひそめて、じっと動かずに観察しました。
関東圏にいると、遠い存在の気がする樹上性のトカゲ。沖縄方面に出かけた時は、また出会いたいものです。