奄美大島夜の観察行 海岸編(リュウキュウカジカガエル、アカマタほか)

上空から見た奄美大島

奄美大島は、鹿児島県と沖縄県の間に位置する離島。東京23区とおなじ位の広さを持つ、かなり大きな島です。人口は約6万人と多く、島の中心部名瀬はこじんまりした地方の県庁所在地並みの街並みです。

交通の便は、鹿児島空港からの便が毎日複数便運航されているほか、東京・大阪からの直行便が毎日出発。数年前には、南西諸島への交通を抑えているJAL系に加え、成田-奄美を結ぶLCCのバニラエアが就航、ずいぶん安く行きやすくなりました。

そんな奄美大島ですが、地形が起伏に富み、温暖な気候から植物の生長がはやいため、少し街を離れるとジャングルのような雰囲気さえあります。面積は広大ですが、山地部分が多く、すべてサトウキビ畑になってしまうような場所ではありません。山地部分もたびたび森林伐採などの開発が入ってきたらしいのですが、気候の特性から回復が早いとのこと。それゆえ、有名なアマミノクロウサギをはじめとする貴重な生態系が何とか保たれ、爬虫両生類も豊富です。

奄美大島の山地

その奄美大島を、爬虫両生類の活動が活発となる夏の夜、生き物に詳しい地元の方に案内してもらいました。

まず最初に向かったのは、ウミガメの産卵/孵化が見られるかもしれないという海岸。海岸沿いには集落があるのですが、集落にある海岸近くの街灯はすべて赤い色になっていました。

海岸沿いの赤い街灯

これは、子ガメが孵化した後、人口の光に寄せられ誤って海でなく陸地方面に行かないようにするための配慮とのこと。生態系や環境に対して、地域・行政によるしっかりした取り組みがされているんですね。

さて、この日は海岸沿いの砂浜を場所を変えて2か所、しばらく歩きましたが、海亀はみられませんでした。ただ、ウミガメが孵化し、出てきた後の穴は見ることが出来ました。

海亀が孵化した後の穴

海亀が孵化した後の卵の殻

ウミガメの子供には、街灯の明かりのほかにも多くの困難が待ち受けているようです。砂浜の卵は、山からリュウキュウイノシシという小型のイノシシが下りてきて、掘り返して食べてしまうそうです。また、かつては人間も、ウミガメの卵を食べたそうです。砂浜を歩く前に、海岸沿いの道端に集まっていた方(このあたりでは、夕暮れ時の海岸に、お酒を片手に人が集まっているのをよく見ます)から聞いたお話ですが、結構おいしいものだったとか。私も、ウミガメの煮込みは食べたことがあるのですが、卵はありません。

さて、そんな訳でウミガメを目当てに海岸沿いの砂浜を歩いていた時、海へ流れ込むせせらぎにきれいなカエルを発見しました!

海岸のリュウキュウカジカガエル1

リュウキュウカジカガエルです。カジカガエルは渓流のイメージが強く、こんな砂浜で出会えるとは思いませんでした。よく見ると、周りには複数のリュウキュウカジカガエルが・・・たまたま一匹がはぐれてここに来たわけではなさそうです。奄美は、山地が海になだれ込むようなリアス式の地形なので、海岸のすぐそばに山があるのですが、それでも海が荒れれば潮を被るような砂浜です。そこにきれいなせせらぎがあって、黄緑色に輝く宝石のようなカジカガエルが何匹もいる・・・ウミガメは見られませんでしたが、ちょっとした感動がありました。

海岸のリュウキュウカジカガエル2海岸のリュウキュウカジカガエル3

しばらく観察して再び歩き出すと、今度はアカマタを発見。リュウキュウカジカガエルを食べに来ているのかもしれません。

海岸のアカマタ

イノシシにウミガメにカエルにヘビ、そして集まってくる人たち。奄美の海岸は、濃いですね。

この後は、山に移動しました。山地編へ続きます。

 

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