沖縄県沖縄市(コザ)にある、沖縄こどもの国。施設名に動物を感じさせるフレーズは入っていませんが、沖縄が誇る立派な動物園です。行ってみると、名前からはなかなか想像できない、レベルの高い爬虫類両生類展示がありましたのでご紹介します。
目次
沖縄こどもの国へのアクセス、行き方
沖縄こどもの国は、沖縄本島のなかでも那覇から離れた地域にあります。公共交通機関を使ったアクセス情報は意外と少ないので、ここですこし詳しく説明します。
那覇空港や那覇バスターミナルからのアクセスは、本部行き117番もしくは名護行き111番の急行バスに小一時間乗って、高速内の沖縄南ICバス停で下車。高速から階段を登って出たところでタクシーが捕まえれば、10分ほどで着きます。
タクシーを使わない場合、少し歩いた場所にある沖縄市循環バスのバス停「コザ運動公園」に行けば、こどもの国に行くバスに乗ることが出来ますが、バスの本数は多くありません。
空港や那覇市街からでる具志川バスターミナル行き23番や90番のバスに1時間ほど乗り、「中の町」バス停で降りてから行く方法もあります。バス停からは少し歩きますが(800メートル、10分強)、道はわかりやすいです。那覇から「中の町」バス停へ行くバスは23番や90番以外にも何本かあるようですので、このルートは比較的おすすめです。
沖縄こどもの国の入場料は大人五百円。入場料を払ってゲートを入ったら、右手方面に進みます。まっすぐの道をしばらく歩くと、右側に坂道が見えてきます。坂道を登ると、アークおきまるという飼育施設が。外観は大きなフェンスですので、一見、爬虫類や両生類がいるようには見えませんが、ここが最初の爬虫類両生類スポットになります。
アークおきまるは、沖縄の動物を展示する場所。入ってすぐのところには沖縄のコウモリや鳥類が展示されていますが、奥に進むと、カエルをはじめとする小型爬虫類両生類の水槽がならぶコーナーがあります。
沖縄産小型爬虫類両生類の水槽が並ぶアークおきまる
アークおきまるに並んでいる水槽は家庭用サイズがほとんどですが、レイアウトは展示対象種類の生息環境に応じて丁寧に作り込まれた感じ。
例えば、アオカナヘビ。カナヘビ一般の飼育に参考になりそうな、色彩豊かなレイアウトです。
同じトカゲでは、オキナワキノボリトカゲのケージもありました。より立体的な作りとなっていて、垂直な枝にとまる姿が観察できました。
カエルは四種類の展示。流れのある岩場にいたのは、ハナサキガエル。
水田を模しているのでしょうか、止水の水場を広くとったケージには、サキシマヌマガエルが展示されています。
陸場にいることの多いイボイモリは、湿った水苔と土の間の窪みにいました。
このコーナーにはこのほかに、オキナワアオガエル、ミヤコヒキガエル、シナスッポン、サキシママダラ、シリケンイモリがいました。また、水槽の上のスペースには、それぞれの生息域が示されたパネルがありました。
沖縄こどもの国が誇るリュウキュウヤマガメ展示
水槽コーナーを眺めていると通り過ぎてしまいそうですが、忘れてはならないのが水槽コーナーの反対側にあるリュウキュウヤマガメの展示。
沖縄こどもの国は、天然記念物たるリュウキュウヤマガメの飼育ではトップレベルの施設。リュウキュウヤマガメはこのコーナー以外の場所でも飼育されていますが、1番見やすかったのはここ。リュウキュウヤマガメの飼育スペースとしては珍しく、水場を広めにとったケージで、地元の気候を活かした事実上の野外飼育です。
水面に顔を出すリュウキュウヤマガメ、物陰で首を伸ばすリュウキュウヤマガメ、水場を上がったリュウキュウヤマガメ、植物の陰に多数集まるリュウキュウヤマガメ・・・天然記念物をこれだけの密度で見れるのは貴重。
ちなみに、このあと紹介する爬虫類館では、こどもの国で生まれたと思われる子ガメも展示されていました。
アークおきまるから爬虫類館へ
アークおきまるを出て、次の爬虫類スポットへ向かいます。次のスポットはその名もズバリ、爬虫類館。アークおきまるからその爬虫類館に向かう園路には、セマルハコガメの展示がありました。
これも、気候を活かした野外ケージ。かなりの数が飼育されていましたが、みんなシェルターに入ってしまうらしく、係の人がシェルターからカメを出していました。写真のような草が投入されていましたが、餌でしょうか。
同じく園路の途中にいたのは、ケヅメリクガメ。おそらくもともと他の動物用に用意されたと思われる広いスペースに飼育されていました。この日は20度を下回る気温だったこともあり、ホットスポットの下で動かず。ほか、ツシマヤマネコやライオンやカバといった動物を見ながら園路を進んでいくと、爬虫類館にたどり着きます。
沖縄在来種も外国産種も展示する沖縄こどもの国の爬虫類館
爬虫類館は、L字型の通路の両側に展示が並ぶつくり。家庭用水槽で飼育するようなサイズよりは大きいものの、外飼い・野外展示に馴染みにくいヘビなどの種類が多くいます。
沖縄にいる種類から紹介すると・・・ 木の枝に絡まる黒っぽいアカマタ。この枝組みが気に入ったのか、ずっとここにいました。沖縄こどもの国爬虫類館のケージ内枝組みは、他種のケージ含め全般的になかなかいい感じなので、樹上性ヘビを飼育される方には参考になると思います。
ヤシガラと枯れ葉、土が敷かれた湿った地面に横たわる、サキシマスジオ。
綱引きの綱を思わせるサイズで、堂々と止まり木に横たわるヨナグニシュウダ。太さは女性の腕より太いくらいの大型の個体です。写真は上から撮ったものですが、下から見上げるような位置にいました。
ヒメハブは、乾きめの枯れ葉が敷かれたケージで飼育。これほど溶け込まれると野外では気付きにくいですね、要注意です。
残念だったのは、キシノウエトカゲが隠れていて見れなかったこと。逆に言えば、臆病なキシノウエトカゲがちゃんと隠れられる場所が用意された、いいレイアウトが組まれていました。キシノウエトカゲはよく隠れてしまうらしく、姿を見るには午前中がオススメとのこと。
爬虫類館で展示されていた沖縄の種類はこのほかに、屋内にハブ、タイワンスジオ(加えて、沖縄にはいないが国内種のアオダイショウ)が、半野外のスペースにはリュウキュウヤマガメとセマルハコガメがいました。
一方、海外の種類は、ビルマニシキヘビの大型個体、ミツユビアンフューマー、ワニガメ、パラグアイカイマンの幼体、ミナミテグー、グリーンイグアナ、ボールニシキヘビ、インドホシガメ、インドシナウォータードラゴンを飼育。
ミナミテグーは、ヤシガラが敷き詰められたスペースの、ホットスポット下で寝ていました。
グリーンイグアナは、スペース的に目玉扱い。成熟個体3匹が、八畳はありそうな特大スペースに飼育されています。上野動物園や東山動物園自然動物館での展示をみてもそう思いますが、グリーンイグアナって簡単に飼えないですね。
イグアナ飼育レイアウトの中には体がはいる大きさの水場があり(木の枝の奥にあるので写真には写っていません)、ヤシガラが敷き詰められ、太い木の枝が組まれています。ケージの横側から光熱が当てられ、ホットスポットが展示ガラスの手前側かつ比較的低い位置に作られているので、個体が間近で見られる仕組み。
沖縄こどもの国の爬虫類館では、通気性を意識してかケージの側面や背面に金網が多用され、風通しは良さそう。その金網越しには、バックヤードが見えました。 また、ケージの床材は、コンクリのまま、ヤシガラ、枯れ葉、赤玉土や黒色の土などを種類に応じて選択していました。
沖縄の気候を生かして、ワニなどを外飼い
爬虫類館を出ると、暖かい沖縄ならではのワニの外飼いコーナーが。ワニの種類は多く、マレーガビアル、シャムワニ、ミシシッピーアリゲータ、パラグアイカイマンが飼育されています。
特徴的だったのは、飼育スペースの形態。水場を見るとコンクリートの普通のワニ飼育設備ですが、陸の部分を見ると植生が通常の地面と地続きになっているように見えます。
地面に傾斜がついているのと、植生密度が濃く生垣状に囲まれているのとでワニが逃げ出すことはできない仕組み。柵やコンクリートによる仕切りを意識させない、本当の外飼いでした。
このほか、同じスペースにはワニガメの池が。動物園などでワニガメを外飼いしている場所は少なく、ワニガメを上から見る機会はあまりないはず。
並びには、各種水棲ガメがうじゃうじゃ。下の写真は、ニホンイシガメ、ミナミイシガメ、ハナガメ、 オオヤマガメの池。
続いて、クサガメ、オオヤマガメ、マレーハコガメ、リバークーター、クリイロハコヨコクビガメ、ヌマヨコクビガメ、ノコヘリマルガメの池。
この他に、ムツアシガメが臨時なのか割と簡素なコンクリートの小屋にいました。
沖縄こどもの国は、貴重種含め多くの爬虫類両生類を展示する本格派施設。飼育環境の造り込みはかなりしっかりしています。爬虫類目当てて訪問して損はない場所でした。
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