パンケーキリクガメの飼育方法3選

リクガメの中でも平べったい甲羅が特徴的なパンケーキリクガメ。細い隙間に入り込んで、体を膨らませて引っ張り出されないよう閉じこもるという面白い技をもったカメです。そのパンケーキガメを、プロはどのように飼育しているのでしょうか。エサやケージの状況をリサーチした結果をご報告します。

パンケーキガメのケージ、エサ、温度等

プロの飼育環境を見る前に、パンケーキガメの飼育条件について、詳しい参考書から基本的なデータを抜粋します。

「Q&Aマニュアル爬虫両生類飼育入門」には、パンケーキガメを飼育する上での諸々の条件として、

ケージ(ビバリウム):サイズはペア1組あたり122×75×45センチ。複数の隠れ家を用意する、水を入れた小さなボウルを置く。多湿を避け、通気を良くすること。生きた植物は置かない。

床材:乾燥した埃のたたない砂。厚さ5~8センチ。

温度(気温)、ライト:低温部で24度、ホットスポットで32度、夜間は13~15度、光周期:14時間。フルスペクトル(UVB)ライトと日光浴用のレフ球。

エサ:さまざまな草類および最大20%の果物類。マッシュルーム、モヤシ、青豆、そら豆、アルファルファなど。屋外飼育の場合は、たまにビタミン剤を与える。

等々が示されています。

「爬虫両生類飼育図鑑」では、

ケージ:広くて通風のよいテラリウムで飼う。じめじめするのは禁物だが、空中湿度はある程度あるほうがよい。このことは、暖房しているときには特に留意が必要である。ケージ内にはシェルターを入れる。

床材:ケージの床材は紙か砂、土、あるいは大きな砂利で、飲み込んでしまうような中途半端な小砂利はよくない。

温度(気温)、ライト:気温22~28度ぐらいが適温で、1日1回、35度くらいまでの高温にさらしてやると活発に採食するようになる。直射光が必要。紫外線灯を照射するとよい。

エサ:餌は果実、野菜、タンポポ・クローバー等の花、野菜を主にし、ミンチ肉にビタミン・カルシウムを添加したものを混ぜて与える。

とされています。

この他、各種の飼育書や図鑑等の情報を総合すると・・・

パンケーキリクガメは、アフリカ東部のケニア・タンザニアなどを生息地としています。生息地の環境は、乾燥した岩場。薄くて柔らかい甲羅は、この岩の隙間に隠れたり挟まったりするときに役立ちます。甲羅が軽いことから、岩をよじのぼったり素早く走ったりといった動きをします。

東山動物園自然動物館のパンケーキリクガメ飼育レイアウト

平成15年にパンケーキガメの繁殖賞(日本動物園水族館協会)を受賞した東山動物園自然動物館では、下のようなケージレイアウトでパンケーキガメを飼育していました。

東山動物園自然動物館のパンケーキリクガメケージ

床材は、乾き目の砂。やや湿っている部分がありますが、これは水場から出たカメが動いた跡でしょう。シェルターは3つ用意されていて、うち2つは重ねられて立体的な感じとしています。

水場は、丸ごと入れるサイズのバット。入りやすくするため、そして動かないよう、両側から固定されています。

東山動物園パンケーキリクガメのエサ

エサの内容は基本的に白菜など葉物がメインですが、左手前にバナナ、右端に柑橘(オレンジ)と思われるものが少量見えます。カルシウムかビタミンかわかりませんが、粉末状のものも振りかけられています。

iZooのパンケーキリクガメ飼育スペース

大きなものから小さなものまで、多くの種類のリクガメを飼育し繁殖でも実績をあげるiZoo。パンケーキガメは、屋内の木枠で囲ったスペースで飼育されていました。

スペースの中には、パンケーキリクガメが登ったり隠れたりできるように、岩を組み合わせた岩場がありました。岩場の上はホットスポットとなっていて、ライトが照射されています。パンケーキガメの飼育書には、UVBを照射するフルスペクトルライトの必要性が記載されているものが多く、やはり日光・紫外線に対する要求は高いものと思われます。

床材は、乾いた感じの、通常の日本の屋外にあるような土。パンケーキリクガメは、岩場の周辺を積極的に動き回って元気な様子でした。

足立区生物園のパンケーキガメ飼育ケージ

きれいなレイアウトで爬虫類両生類を展示している足立区生物園のケージ。

足立区生物園のパンケーキリクガメ飼育ケージ

床材は、乾いた、粒の細かいものを使っています。隣のインドホシガメの床材と比べると、湿っていないのがよくわかります。使われているのは、おそらく下の製品のいずれか、もしくは類似品。比較的に厚めに敷かれていたこともあり、半分体を潜らせている場面もありました。


ビバリア ウォールナッツサンド 3kg


カミハタ デザートブレンド 3kg

水入れは、体が入る大きさのものを設置。ひっくり返らず、かつ登りやすい形状のものでした。

隠れ家は、岩を模した立体的なものが用意され、登れるような工夫もされています。前述のように生息地では岩場を動き回るリクガメですので、これぐらいの大きさ、高さのシェルターが用意できると理想的なのでしょう。

足立区生物園のパンケーキガメのエサ
シェルターの中には、隠れている個体も見える

エサは、葉物+ごく少量のニンジン。粉末が振りかけられていました。

パンケーキガメは、2019年11月からサイテスⅠになりました。いまの国内の個体を、しっかり飼って、殖やしていくしかありません。上記で参照した飼育の参考書には繁殖についての記載もありましたので、飼育される方には、是非繁殖・CB化を目指してほしいものです。

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