質・量ともに日本有数規模、東山動物園自然動物館

愛知県名古屋市にある東山動物園は、植物園や遊園地と一体となった大型の動物園。その中に、自然動物館という展示施設があります。爬虫類両生類を展示する施設として、質・量ともに日本有数の存在ですのでご紹介します。

東山動植物園正門入口

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東山動植物園自然動物館へのアクセス、行き方

東山動植物園は、名古屋駅から地下鉄東山線で約20分間ほど、東山公園駅のそばにあります。 駅から動植物園の正門までは、歩いてすぐ。地下鉄出口から門が見える距離です。ただ、東山動物園は敷地面積がかなり広く、正門から爬虫類両生類を飼育する自然動物館までは距離があります。ゾウなどの動物の展示が並ぶ道を10分ほど歩き、エスカレーターで高台に上がると、自然動物館の建物に着きます。

東山動植物園自然動物館の建物

自然動物館は広い二階建ての建物で、一階が夜行性の動物を暗闇のなかで展示するスペース、2階が爬虫類両生類の展示スペースとなっています。 建物は隣の大きな温室と一体となっていて、エントランスに入ると、さっそくガラス越しに温室とワニの姿が目に入ってきました。

温室では、大型ワニを複数飼育

温室の様子

大きな二階建ての温室の中に入ると、一階と爬虫類両生類を展示する二階をつなぐ空中スロープがあります。スロープから下を覗くと、両脇にワニの飼育スペースが並んでいました。温室で飼育されていたのは、ニシアフリカコガタワニ、インドガビアル、ミシシッピワニ(2区画に1匹ずつ)、ナイルワニ(2区画に1匹ずつ)の4種類。

澄んだ水の中をゆったりと泳ぎまわる、ピチピチした感じの綺麗な個体は、インドガビアル。

東山動物園のインドガビアル

エントランスでガラス越しに見えたワニはナイルワニで、温室では上から観察出来るようになっていて、広い水場にゆったりと浮かんでいました。

温室のスロープ上からみるナイルワニ

ミシシッピワニは2区画で2匹が確認できましたが、あまり動かず。 ワニは、この他に屋内にヨウスコウワニとニシアフリカコガタワニの展示スペースがあり、あわせて5種8匹が確認できました。 温室では、ワニのエサやりタイムがあるようですし、ここはワニを見に行く場所としてかなりおすすめです。

イモリ、サンショウウオ類の展示が充実

温室を通り抜けると、2階の建物に入ります。建物の中は、入り組んだ形の展示スペース。入ると、爬虫類方面と両生類方面に分かれていました。

両生類方面は、まず有尾類の展示スペース。 東山動物園の自然動物館は、他ではあまり力を入れないことが多いイモリやサンショウウオ、サラマンダー類の展示が、かなり充実しています。 有尾類のエリアで最初に目に入ってきたのが、数々のイモリの展示。お馴染みの二ホンイモリ(アカハライモリ)からはじまり、シリケンイモリ、コイチョウハナダイモリ、スペインイボイモリ、マダライモリ、ミナミイボイモリ、クシイモリなどを展示しています。

ヒラオミズアシナシイモリ

ウナギみたいな形をしたアシナシイモリの一種、ヒラオミズアシナシイモリもいました。よく見える明るい場所で動きまわる種類もいれば、物陰に隠れてなかなか出てこない種類もいます。

イモリの飼育スペースは、水中で暮らす傾向が強い種類のケージにも、陸場が設けられていました。また、シャワーのように水が吹き出す仕組みが用意され、流れのある環境が再現されていました。

イモリのエサは、アカムシを与えているところが確認できました。シリケンイモリのキャプションには、「エサとなる赤虫(あかむし)をいれるといっせいにとびつき他のイモリの足をエサとまちがえくわえてしまうこともあります」と書かれていましたし、ミナミイボイモリのケージには、白い皿に生きたアカムシが入れられていて、近くのシェルターの下からイモリがアカムシを狙っていました。

クシイモリの展示

有尾類展示で目玉となっていたのが、他であまり見られないチュウゴクオオサンショウウオ。 チュウゴクサンショウウオは、あの巨体のオオサンショウウオを超える大きさになるサンショウウオで、日本に外来種として入ってきています。京都の鴨川などでは、在来の天然記念物オオサンショウウオとの交雑が進んで問題化。ただ、チュウゴクオオサンショウウオ自体も貴重種なので駆除するわけにいかず、悩ましいところだとか。

チュウゴクオオサンショウウオ

チュウゴクオオサンショウウオは、オオサンショウウオと比べることが出来るようにという配慮でしょうか、オオサンショウウオの隣に展示されていました。 有尾類は他にも、マッドパピー、オオサイレン、トラフサンショウウオ、スポテッドサラマンダー、アホロートル(メキシコサンショウウオ)、カスミサンショウウオが展示されていて、かなりの充実度です。

カエルは日本産種がやや多い

両生類方面の展示スペース奥には、カエルのコーナーがありました。東山動物園自然動物館は、全般的に規模に比して日本産種の展示がそれ程多くないのですが、カエルについては比較的日本産種の展示割合が多く見られました。

ミヤコヒキガエルは、流れのある水路が設けられた広いケージの中で飼育されていました。 アズマヒキガエルのケージも、水場面積を少なく、陸場を広くとった、ゆったりとした造り。

ミヤコヒキガエルの展示スペース

ウシガエル、アフリカウシガエルは調整中で見られなかったのですが、原生林の林床に棲む夜行性のカエルというナンベイウシガエルというウシガエルが。

東山動植物園のナンベイウシガエル

カエルはこの他に、日本産種は二ホンアマガエル、ナガレヒキガエル、カジカガエル、ヌマガエル、ツチガエル、トノサマガエル、ダルマガエル、外国種はアイゾメヤドクガエル、マダラヤドクガエル、コモリガエル、トマトガエル、アカメアメガエル、チョウセンスズガエル、イエアメガエル、ベルツノガエル、マルメタピオカガエル、アフリカツメガエルを飼育。 トノサマガエルは地元種として、ナゴヤダルマガエルとの違いが解説されていました。

付近でよくみられるというトノサマガエル

両生類コーナーは、有尾類・カエルともに大磯砂を床材に使ったレイアウトが多かったです。

東山動物園のトカゲ

続いて、爬虫類方面。 東山動植物園自然動物館は、爬虫類と両生類を分けていることからもわかる通り、概ね種類別の展示をしています。 爬虫類で数が多かったのが、トカゲの展示。

目をひいたのが、ミズオオトカゲ。大きな個体がU字型に突き出したガラスのケージで飼育されていて、目の前で元気に泳ぎまわっていました。

ミズオオトカゲ

エボシカメレオンは、3匹が1匹ずつ、3つのケージで飼育されていました。水のやり方が工夫されていて、ケージの上から常に水滴が滴るような仕組みが用意されていました。水滴は植物にかかり、水が垂れる場所の植物は常に濡れている状態。

エボシカメレオン
赤丸の部分から水滴がたれ、木の枝や植物にかかるようになっている。他のケージも同じ仕組み。
エボシカメレオンは、一匹ずつ3つのケージで飼育

実物は意外と見れないエリマキトカゲの展示。イメージとは違い、基本、木の上の同じところにいました。キャプションによると、「森林に生息して樹上生活をするが、採食などのために地上に降りることがあり、地上では後肢だけで立って走ることがある」とのこと。

エリマキトカゲには広い砂地がある飼育スペースが用意されていたが、ずっと木の上にいた。

一番奥にワニ並みのスペースが用意されていたのが、ケイマンイワイグアナ。リトルケイマン島とブラックケイマン島にすむ種類で、絶滅の危機に瀕しているそうです。大型の希少種だからでしょうか、VIP待遇です。ほとんど動かず。

ケイマンイワイグアナの飼育スペース

水にも入り、木も登るというインドシナウォータードラゴン。複数飼育されていて、枝の上のホットスポットで日光浴するもの、水場に浸かっているものなどが広いひとつのケージにいます。グリーンイグアナも同じく枝あり、水場ありのケージで飼育されていて、飼育環境は似ている印象。

インドシナウォータードラゴンの飼育スペース

両生類コーナーにはアシナシイモリがいましたが、トカゲコーナーにはアシナシトカゲの一種であるバルカンヘビガタトカゲがいました。 トカゲ類はこのほかにも、コガネオオトカゲ、オニプレートトカゲ、アルマジロトカゲ、ヒョウモントカゲモドキ、ヒラオヒルヤモリ、マダガスカルミドリヤモリ、ヤシヤモリ、アカメカブトトカゲ、トッケイヤモリ、キタアオジタトカゲ、テグー、アメリカドクトカゲを展示。日本産種の展示はありませんでした。

アシナシトカゲの一種、バルカンヘビガタトカゲ

リクガメも水棲ガメもならぶ東山動物園自然動物館のカメ

リクガメは、屋外、温室、屋内でそれぞれ展示。 屋外では、自然動物館の建物入り口に放し飼い広場があり、アルダブラゾウガメが複数飼育されていました。冬場だったこともありこの日は放し飼い広場にゾウガメはいませんでしたが、広場脇のゾウガメ舎の中ででエサに群がる姿がガラス越しに観察できました。

ワニがいた温室には、大型種のエミスムツアシガメと、多頭飼いしているビルマホシガメ、ホウシャガメを展示。 エミスムツアシガメは地味なカメですが、アジアのカメでは最大のカメとのこと。ゾウガメよりは小さいですが、キアシガメやアカアシガメより明らかに大きいサイズ。

エミスムツアシガメの飼育スペース

ホウシャガメとビルマホシガメは、二桁を超える数の個体がいます。よく動いていて、見飽きません。

手前がホウシャガメ、奥がビルマホシガメ

屋内には、キアシガメ、アカアシガメ、ギリシャリクガメ、パンケーキガメ、インドホシガメ、ビルマホシガメ(温室のと比べて土まみれでない)を展示。エサは種類によって分けている感じはしましたが、例えばパンケーキリクガメに与えられていた餌にはバナナ、柑橘なども含まれていました。ギリシャリクガメは、元気で常にケージのなかを動き回っていました。

エサを食べるキアシガメ(右)とアカアシガメ
キアシガメには週一回肉を与えるという

水棲ガメは、基本的に屋内での展示。 面白いなと思ったところでは、「攻撃を受けると皮膚から悪臭のある分泌液を出す」サルビンオオニオイガメというスカンクみたいな種類が飼育されていました。臭いを出すカメといえば、お馴染みのクサガメが危険を感じると臭いを出すから臭ガメ、と呼ばれています。クサガメについては、ゼニガメサイズから金銭ガメサイズまで数年間飼育した経験では臭う実感はないのですが、サルヴィンオオニオイガメはどのくらいの匂いなのでしょうか。

サルビンオオニオイガメ

マタマタは、大きさは拳サイズの小さな個体でしたが、枯れ葉が入れられた水槽にうまく溶け込んでいる姿が見られました。水槽には、エサでしょうか、メダカも泳いでいます。

枯葉レイアウトに溶け込むマタマタ

トウブドロガメは、ここで繁殖実績があるようで子ガメは1円玉くらいの大きさだったとのこと。キボシイシガメはイグアナと同居していて、2匹が浅い水場で追っかけあったりと、せわしなく動きまわっていました。

水棲ガメは、この他にマッコードナガクビガメ、ワニガメ、スッポンモドキ、カミツキガメが、日本産種はクサガメ、セマルハコガメ、ニホンイシガメ、ニホンスッポンが飼育されていました。

東山動物園のヘビ

姿かたちは普通でも、生態が面白いとおもったのが、卵食のアフリカタマゴヘビ。キャプションによれば、「頭部の3倍から4倍ほどある卵を丸呑みし殻だけ吐き戻す特殊なヘビ。現地では雨季で鳥の繁殖期の期間だけ卵を捕食し残りの卵のない期間は餌を捕食せず長い休眠に入る」とのこと。

卵食のアフリカタマゴヘビ

オオアナコンダは普段水中に潜んでいるヘビですが、「普段は地中に身を潜め、目と口先を出し、外界の様子をうかがっている」というヘビがケニアスナボア。砂の部分に潜っているのか、最初は姿が見えなかったのですが、何度か時間をおいて戻ってきたところ、姿を見ることが出来ました。

普段は地中に身を潜めているというケニアスナボア
最初は姿が見えなかったケニアスナボア飼育スペース

ヘビは、飼育にスペースを取らないといわれることもありますが、東山動植物園自然動物館では全般的に大きなケージで飼育されているものが多いように感じました。外国産種は、ビルマニシキヘビ、ボアコンストリクター、ミルクヘビ、カルフォルニアキングヘビ(カルフォルニアキングスネーク)、エメラルドツリーボア、ミドリニシキヘビ、オオアナコンダ、カーペットニシキヘビ、アフリカニシキヘビ、ボールニシキヘビ、キイロネズミヘビ、コロンビアレインボーボア、アカダイショウ(コーンスネーク)がいました。日本産種は、アオダイショウ、シマヘビ2種のみの飼育でした。

東山動物園自然動物館の感想まとめ

東山動植物園自然動物館は、東海地方にありながらも爬虫類両生類の展示施設として質・量ともに日本トップ(クラス)の施設です。展示数が豊富で、それを支える施設面・設備面もすごく充実しています。

ケージは基本的に建物造り付けで、背面や上部にしっかりとしたバックヤードがあることを感じさせる造り。ひとつひとつの飼育スペースが広く、他で60センチ水槽や90センチ水槽で飼育されているようなケースでも、畳〇畳サイズの飼育スペースが用意されていたりします。

展示数は多く、一つ当たりの飼育スペースも広いのですが、建物そのものの面積が広いため、展示スペースもゆったりしていて混みません。館内は複雑な作りですが、壁面が白系のタイルで統一され、整然とした雰囲気。時間をかけてゆっくりまわりたい、必見の施設です。

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