タイの首都・バンコクは、都市圏人口1500万人規模の大都市。名古屋の都市圏人口が約1000万人ですので、大体その1.5倍ほどの規模を誇ります。
そのバンコクの中心部に、ルンピニー公園という都市公園があります。東京でいえば、オフィス街や官庁街に隣接し、有楽町・銀座・新橋といった繁華街にもほど近い日比谷公園のような存在。
そんな大都会のど真ん中の公園に、2メートルサイズの大型爬虫類であるミズオオトカゲ(サルバトールモニター)がすみ着いているといいます。行って簡単に見れるものなのでしょうか。
目次
ルンピニー公園へのアクセス、行き方
ルンピニー公園は大都市バンコクのど真ん中にありますので、どうとでも行けるのですが、ここでは地下鉄・高架鉄道での行き方を紹介します。
最寄り駅は、地下鉄MRTのシーロム駅1番出口、もしくは高架鉄道BTSシーロム線のサラディーン駅4番出口。
地下鉄からあがってすぐのところに公園の入り口があります。周りには高層ビルが立ち並び、まさに都市公園の雰囲気。さっそく中に入ってみます。
いました、大都会にオオトカゲ
ミズオオトカゲ自体は、日本で飼育されている個体を何度か目にしています。水辺をすみかとする爬虫類なので、池のほとりにいるだろうとあたりをつけて探し回ります。すると、公園に入って10分もたたないうちに・・・
ミズオオトカゲを発見しました!
ミズオオトカゲが池からあがってきます。そばにある土管のなかにも別の個体が潜んでいるらしく、尾が出ているのが見えます。
近くのベンチでは普通に人々が談笑しています。
野生の大型爬虫類が大都会のど真ん中に。背後に高層ビルが立ち並ぶ、池のほとりでの光景でした。
ヤシの木にスルスル登るミズオオトカゲ幼体
公園では、ミズオオトカゲの幼体も見かけました。
重たい体で泳ぐか岸辺に横たわっているかの成体とは対照的に、30センチサイズの幼体がスルスルとヤシの木を登っていきます。この身軽さ・コンパクトさ、成体とは別物の印象を受けますね。
いとも簡単に上までいった後、最終的には葉のところに隠れてしまいました。
ちなみに、記事冒頭にある写真のヤシの木の幹をよくみると、このミズオオトカゲの幼体が貼り付いているのが見えます。
幼体の姿を見かけたことで、ここのミズオオトカゲが公園内で繁殖までしていることもわかりました。
ルンピニー公園でオオトカゲを見つけるためのポイント
さて、あっさり出会うことが出来たミズオオトカゲですが、見つけるためのポイントをいくつか挙げてみます。
見つけるためのポイント①朝の時間帯が良い
一般に、爬虫類の活動時間帯は真昼間ではありません。また、バンコクはそれなりに暑いため、気温が上がる前の午前中の時間帯に見に行くのがよいと思います。なお、バンコクのガイドブックには、暗くなってからは公園に立ち入らないように注意がありました。
見つけるためのポイント②池の中にある島を、池の淵沿いに一周する
水場のトカゲであるミズオオトカゲが池のほとりにいるのは想定通りですが、池の外周側では全く見かけず、中島側に集中していました。彼らなりに場所を選んでいるのでしょう。
ちなみに、冒頭で紹介した公園入口から中島までの行き方は次の通り。
・公園入口をはいって、左側に進む道をはいります。
・進んでいくと、右手に道が分かれます。その先に、中島へ渡る橋があります。
見つけるためのポイント③土管のなか、もしくは建物の下に注意
行ってみた感想として、①と②に留意して見に行けば会えないことはまずないという印象ですが、念のためよく出没する場所を挙げておきます。
池のほとりにはところどころ土管がありますが、この中に潜んでいることが多いようです。ただ、相手は大型爬虫類。土管を不用意に覗き込むようなことはしないようにしてください。
また、中島のほとりに白い建物が建っていて、その下がオオトカゲの休憩場所となっているようでした。
都会で生きるミズオオトカゲの餌は?
さて、バンコクのど真ん中、ルンピニー公園にミズオオトカゲが生息していることはわかりました。見かけた数も2、30匹はいたと思いますし、幼体を含めて様々なサイズの大きさの個体がいることから、おそらく繁殖もしているものと思われます。そこで疑問となるのが、彼らが何を食べているのか?ということです。
この公園の周りは全くの都市で、大型爬虫類が姿を見せるような場所ではありません。彼らは公園の中で生活を完結させているはず。はたして、公園内にそれを支えるだけの餌があるのでしょうか。
可能性としては、公園内の池の魚を(生きている状態で捕食しているかはともかく)食べている可能性はあります。実際、池ではコイ・フナサイズの魚を見かけました。
ただ、本当にそれだけで賄えるのか、もっと別の餌があるのか、実際のところはわかりません。なお、横浜の野毛山動物園でミズオオトカゲにエサをやっている場面に出くわしたことがありますが、エサの量は少なく、体の大きさの割にそんなに大食いでない印象をうけました。
サルバトールモニターの飼育
さて、このミズオオトカゲ、サルバトールモニターという別名でペットとして流通しています。「爬虫両生類の上手な飼い方」でも、大きなスペースを割いて紹介されるほど。素人が飼育できる種類ではないと思いますが、国内のプロによる飼育設備の例をご紹介します。
まずは、札幌・円山動物園爬虫類両生類館のケージ。キャプションには、「インドからインドネシア、フィリピンなどの東南アジアの森林だけでなく、人家付近にも生息する。水によく入り、泳ぎが得意であるため、その名の由来となっている。動物食で、ネズミなどの小型ほ乳類や鳥類、魚類、昆虫の他、ワニなどのは虫類の卵も食べる。」と書かれていました。ケージ内の温度は27.8度でした。
東山動物園自然動物館のミズオオトカゲ。キャプションの記載は、「体長2メートルを越える大型のトカゲ。水辺を好み、泳ぐことができる。鋭い爪を使い、樹上に登ることもできる。食性は動物食で小型哺乳類、鳥類、は虫類、両生類、昆虫等を食べる。」。
iZOOのミズオオトカゲのケージには、水辺・陸場に加え、シェルターになるような構造物が用意されていました。
シェルターの上や下にも個体が見えます。
キャプションには、「全長2m50cmを超える大型のトカゲです。沼や河川の水辺を好み、死肉や魚、小動物などを食べています。飼育していると人によく慣れるトカゲです。」とあります。
このほか、野毛山動物園や天王寺動物園のケージも構造物がセットされていました。
ルンピニー公園や天王寺動物園の幼体の写真をみるとわかりますが、ミズオオトカゲは幼体と成体で存在感がだいぶ違います。
成体を飼育するプロのケージをみると、最小の野毛山動物園でも排水設備が整ったおよそ6畳ほどのスペースを用意しています。施工費用はもちろん、餌代や暖房費用を考えると維持コストも相当なものになるはず。これを飼育できるのは、飼育技術と資金面でセミプロ級の人でしょう。
ただ、一般人にもサルバドールモニターを楽しむ手段はあります。上で紹介した動物園に行くのもおすすめですし、今は、バンコクまで安い時期だと往復5万円台で行ける時代。様々なサイズの生体を間近で見られるルンピニー公園まで行って(1メートルくらいまで近づいても逃げません)、野生個体をじっくり見てきてはいかがでしょうか。
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