ミツヅノコノハガエルの飼育環境3選

ミツヅノコノハガエルは、地面に落ちた枯れた「木の葉(コノハ)」のような姿をもつ地表性のカエル。しばしば擬態する生き物の例として取り上げられます。実際、枯葉とまざってしまうとこんな感じ。

アクア・トトぎふのミツヅノコノハガエル

このミツヅノコノハガエル、ペットとしても流通しているのを見かけますが、プロはどのような飼い方をしているのでしょうか。

参考書にみるミツヅノコノハガエルの飼育方法

プロによる実際の飼育環境を見る前に、詳しい飼育参考書を参照します。

千石正一著「爬虫両生類飼育図鑑」のミツヅノコノハガエルの項には、次のように書かれていました。

ほぼ地表で活動するため、ケージ内に木の枝等の立体活動させるための設備は不要。湿度を保つための水場はあるのがよいが、そこで泳いだりすると期待しない方がよい。できれば流水にするのがよい。岩を重ねたり、落葉やミズゴケを敷いたりしてシェルターを設けることが不可欠。跳ねてあばれて吻端を傷付けるようなことは、カエルとしてはないほうだが、飼育のはじめにはケージを布で覆ったりして落ち着かせるのがよい。気温20~25℃で、むしろ低めが安全。餌はミミズ・ナメクジ・カタツムリ・コオロギ等で、飛ぶ虫を食べることはあまりない。夜行性であり、強い光を嫌う。

KawaZooのミツヅノコノハガエル

Q&Aマニュアル爬虫両生類飼育入門」には、

ビバリウムのサイズ・・・75×30×38cmに1頭(サイト注:よく共食いするので繁殖期を除いて単独で飼育するよう注意あり)

床材/居住環境・・・ローム土と苔。表面を厚さ5cmの落ち葉で覆う。床材の上にコルクバーグの隠れ家数カ所を設ける。夜、スプレーで2回、水を吹きかける。

気温・・・日中は24~25.5℃、夜間は24℃。光周期:12時間。湿度・・・80~90%。

食餌・・・粉末栄養剤をまぶした昆虫類。ときどき、マウスまたは生の牛肉赤身片を与える。

とありました。ちなみに、ミツヅノコノハガエルの繁殖には普段と違った環境を用意する必要があるようで、この本では繁殖やオタマジャクシ・幼体の育て方についても詳しく触れられていました。

続いて、プロによる実際の飼育例を見ていきます。

アクア・トトぎふのミツヅノコノハガエル飼育方法

冒頭の写真のミツヅノコノハガエルを展示していたのが、岐阜県の淡水魚水族館「アクア・トトぎふ」。擬態する生物を特集した特設展での展示で、全体はこんな感じでした。

擬態の特設展での展示風景

木の葉に擬態するコノハガエルの展示ですから、カエルに似た感じの落葉をたくさん敷き詰めているのは当然ですが、注目すべきは落ち葉の下の床材。冒頭の写真や下の写真を見ていただければわかりますが、湿った状態の赤玉土や黒い有機系の土を敷いています。

ケージは結構広く、よく見ると土の部分にわずかに傾斜をつくり、高低差をつけています。高い部分には湿った赤玉土を敷き、右側や手前の低い部分は水にヒタヒタに浸った状態の腐葉土としていました。

ミツヅノコノハガエル
アクア・トトぎふのミツヅノコノハガエル。枝の先端のコオロギの左横にいる。

ケージ内には流木や木の枝が入れられ、カエルはその陰に隠れていました。餌は、コオロギが複数匹。土の表面が濡れた状態だったため、コオロギは枯葉の上や枝の上にいました。

KawaZooのミツヅノコノハガエル飼育ケージ

世界中からたくさんのカエルを集めて展示する、カエル専門の動物園「KawaZoo」の飼育ケージ。写真をみて、生体がどこにいるかわかりますでしょうか。

KawaZooの飼育ケージレイアウト

ケージには、カエルが姿を隠せるような大きな流木が入れられていて、カエルは流木の陰に潜んでいました。その奥には、陶器製の水入れも見えます。

流木の下に隠れるミツヅノコノハガエル

床材は、有機質の腐葉土を敷き詰めた上に、枯葉を敷いています。床材の湿り気は、今回紹介する施設のなかで最も乾いた感じでした。

札幌市円山動物園のミツヅノコノハガエル飼育レイアウト

ミツヅノコノハガエルの繁殖に成功し、各地の動物園に個体を供給していたという札幌市円山動物園爬虫類両生類館では、3匹のミツヅノコノハガエルを展示していました。

円山動物園の飼育ケージ

ケージ内にはシダのような植物が植えこまれ、カエルはその陰に隠れています。木の枝が横たえられているほか、造りつけの水入れも見えます。

円山動物園の飼育ケージ

床材は、ヤシガラが混じった有機質の床材を使っていて、アクア・トトほどではありませんが、Kawazooよりは湿っている感じです。

キャプションには、

インドネシアからシンガポール、マレーシアに分布し、森林内の地面に生息する。目の上の鋭い突起と口先の先端が尖った形状から、上から見ると木の葉のように見えるため、その名となる。動物食で、昆虫やカタツムリ、ミミズなどを食べる。

とありました。

付録:ユンナンフトコノハガエル、カリンフトコノハガエルの飼育環境

コノハガエルの近縁種・フトコノハガエルの飼育環境についても簡単にご紹介します。海老沼剛著「かえる大百科 お茶目なカエルと暮らす法」によると、

ユンナンフトコノハガエル・・・山地の林床などに生息し、水にもよく入る。

カリンフトコノハガエル・・・森林や山地に住み、主に湿った場所を好むが一時的であればかなり乾いた場所でも耐える。夜行性で、昼間は倒木の下などに隠れている。

とのこと。あわしまマリンパークカエル館では、全体の3分の1ほどを水場とした水槽で飼育されていました。床材は赤玉系で、流木と植物を中に配したつくりです。

あわしまマリンパークのフトコノハガエル

ユンナンフトコノハガエルは瞼の上の突起が1本あり、カリンフトコノハガエルは瞼の上の突起が2本あるそうです。あわしまマリンパークでは両方飼育していましたが、植物の陰に隠れている姿がみえたのはカリンフトコノハガエル。

あわしまマリンパークのカリンフトコノハガエル

ちなみに、あわしまマリンパークのミツヅノコノハガエルは下のようなヒタヒタの水場があるレイアウトで飼育されていました。この環境、「Q&Aマニュアル爬虫両生類飼育入門」に書かれている繁殖用環境の一場面(環境は時間とともに変化させるが、その中の一過程)に似ています。

あわしまマリンパークのミツヅノコノハガエル

ミツヅノコノハガエルは、雨季と乾季がある地域に生息するため、繁殖にはそれを再現した環境をつくりだすことが必要となります。詳しくは前述の飼育参考書(Q&Aマニュアル爬虫両生類飼育入門)に記載がありますが、その場合は水場の作り方などにコツがいるようです。

ミツヅノコノハガエルの飼育環境まとめ

ミツヅノコノハガエルは、地表性のカエル。それだけに床材の質・湿り具合にはこだわりつつ、試行錯誤していく必要があるかと思います。「かえる大百科 お茶目なカエルと暮らす法」には、ミズゴケ・湿らせたヤシガラ・腐葉土の混合を、好む環境に応じて割合を変えたり重ね方を変えたりしながら微妙な湿度を調整していくように書かれています。あまり動かすと落ち着かないでしょうが、霧吹きなども駆使して複数の条件を用意し、居場所や体調を見ながら好みを探っていくプロセスは必要。繁殖を目指すなら、雨季と乾季も考慮しなければなりません。

このカエル、何かの物陰になるような場所にいる点、好む床材の質など、同じ地表性であるアズマヒキガエルと似ている印象を受けます。そのヒキガエルの飼育で人によって差が出るのが、ケージ内の水場・床材湿度。考え方は人それぞれですが、水場のカエルでなくても、乾燥するとあっという間に命取りになるのが両生類。どんなレイアウトにするにせよ、最後の水分確保だけは忘れないように気を付けてください。

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