群馬県藪塚市にあるジャパンスネークセンター。非常に面白くて、それでいながら重要な役割を果たしている個性的な施設だったのでご紹介します。
ジャパンスネークセンター(別名ヘビセンター、ヘビ研)は、北千住から東武鉄道の特急で1時間半弱の、群馬県の藪塚市にあります。駅からは徒歩10分強、藪塚温泉という数軒の宿泊施設がある温泉街に隣接しています。
参考URL:ジャパンスネークセンター【ヘビ研】
いくつも並ぶ看板を通り過ぎて入り口を入ると、まずは食堂・売店コーナー。雰囲気は、昭和の観光地の食堂・売店コーナーそのものです。売店では、ヘビ皮の財布やヘビを使ったエナジードリンク系飲料・食品が売られています。食堂では、マムシ定食・シマヘビ定食のようなラインナップがメニューに並び、生のヘビを捌いて食べさせてくれます。
目次
スネークセンターでマムシ料理を実食
せっかくなので、食堂でマムシを頼んでみました。カウンターにいる板前さん(と呼ぶしかない)がヘビを取り出し、しっかり喉元を握って口を開かせます。カッと開いた口からは、鋭い牙が2本。
顔の真ん前まで近づけて、じっくり見せてくれました。
思う存分見せてもらった後は、捌く過程へ。まずは頭を落とし、お好みでワインと一緒に肝を飲みます。
続いては、ウナギを捌くときのように、先端をまな板に釘で固定。身をおろしてから調理へと進みます。しばらく待って、最終的に出てきたのがこの一品。
マムシには甘辛い味付けがしてあり、元の味はよくわかりませんでした。食の記憶は、記憶の中でも特にあてにならないことが多いのですが、食感は、鮨屋で三枚におろした魚の骨の部分を揚げてサービスで出してくれる、あの部分の食感と似ていた気がします。
スネークセンターの採毒タイム
さて、ヘビを食べた後は屋内施設へ。ここでは、時間を決めて催し物が行われるようです。しばらく待っていると、ミニイベントがはじまりました。スネークセンターの方がヘビをビクから取り出し、スネークフックを使って上手く操ります。
トークもなかなか上手く、面白い催し物だったのですが、なかでも印象に残ったのが「採毒」。ハブの頭を押さえて口を開かせ、牙から毒を絞り出して採るという一連の作業を実演してくれます。
この「採毒」ですが、ただ単に面白いショーとしてやっているのではなく、採ったものは血清の材料にするそうです。スネークセンターは、財団法人日本蛇族学術研究所という施設と一体運営されていて、日本でここでしか作れないヤマカガシの血清をつくったり、毒蛇に咬まれた際の治療方法について医師への情報提供を行うなど、医療の上でも重要な役割を果たしているとのこと。
催し物が行われる建物の中には、様々な種類のヘビを飼育・展示するスペースもあります。
別の時間には、元気な子ヘビとの触れ合い企画も行われていました。
温泉街ちかくの観光スポット的雰囲気が流れる園内
建物の外に出ると、おじさんの声で「ワクワク~ドキドキ~」と歌う、ゆる~い感じのオリジナルテーマソングが流れてきました。
続いて入ったのは、資料館のような建物。 この資料館には、珍しい蛇の標本などに加え、雑誌の記事を集めた未確認生物ツチノコの特集展示や、入場者が世界最強のヘビを決める投票コーナーなどがありました。
資料館を出て進んでいくと、白蛇を祀った神社があります。近くには、大きな白蛇観音も建っていて、単なる爬虫類展示施設とはちがった趣があります。
このあと紹介する屋内施設には、コブラがだんだん近寄ってきて、手前まで来ると前に倒れる装置も。
このあたり、温泉街が近いこともあってなんとなく緩い観光スポットの雰囲気が漂っています。
自然に近いヘビの姿がみられる野外飼育場
さて、屋外には、ヘビがたくさんいる野外飼育場がありました。地面を掘り下げて一定のスペースを確保した場所があり、上から眺める仕組みとなっています。写真は、シマヘビの飼育場。
実際にヘビが暮らしている環境に近い飼育場となっていて、自然に近いヘビの姿を見ることが出来ます。付近には、この他にもマムシの飼育場がありました。シマヘビはともかく、マムシの飼育場って・・・もし落ちたらと考えるとドキドキします。中に入るときはどうするんでしょうか。
多数のヘビを展示する大蛇温室・毒蛇温室
続いて、「大蛇温室」という屋内施設へ。ここでは、ビルマニシキヘビなど個人では飼育できないような大型のヘビが多数展示されています。展示のキャプションもユニーク。
もうひとつの建物「毒蛇温室」では給餌タイムが設けられているそうなので、時間が合えば大きなヘビがマウスを飲み込むところが見られるかもしれません。
事件になったヘビ・グリーンマンバ
さらに別の建物「熱帯蛇類温室」に入ると、世界最強の毒ヘビといわれるグリーンマンバが展示されていました。そして、生体そのものと同じくらい目立つ場所に、この個体の由来がわかる資料が掲げられています。
その由来とは、危険生物の無許可飼育事件。由来がわかる資料とは、事件を扱ったスポーツ紙各紙の記事です。各紙とも、かなり扱いは大きかったです。
この手の事件は、数年に一度思い出したように巷を騒がせます。あらすじは似ていて、「何十匹もの毒ヘビを、自室で隠れて無許可飼育していた○○が、うっかり咬まれてみずから119番通報。事情を知った救急隊に通報されて御用に」とか、「○○ヘビを無許可飼育していたところ、ヘビが逃亡。近隣で大騒ぎになって警察が出動、お縄に」といった感じです。
こういった事件がおきると、押収・保護された生体の引き取り手が必要となります。飼育に許可がいるような種類ですから、当然引き取り手は限定されることとなり、スネークセンターの登場となるようです。
多数のヘビ生体を擁する本格的な飼育・研究施設である一方、どことなく温泉街の観覧スポット的雰囲気も流れるジャパンスネークセンター。爬虫類好きが行けばもちろん、そうでない人が行っても十分に楽しめるユニークな施設でした。