野生でみかけた爬虫類・両生類」カテゴリーアーカイブ

奄美大島夜の観察行 山地編(ハナサキガエル、オットンガエル、イボイモリほか)

奄美大島、夏の夜の爬虫類両生類観察行、海岸編に続く山地編です。

奄美大島の夜の山

海岸沿いの観察を終えた後、夜の奄美の山に移動しました。山中の林道を走り回って、動物と出くわすのを待ちます。奄美は広い上、ジャングルのように木々が覆い茂った林道を夜中に動き回るので、行動中自分がどこにいるかはあまりピンときません。街灯もない林道を、車のヘッドランプを頼りに進んでいきます、地元の人の案内がなければ、迷わずに同じことをやるのはなかなか難しいかもしれません。

ちなみに、この夜の観察において、歩いて山に分け入ったり、藪漕ぎをするようなことはありませんでした。南西諸島には、ハブがいる島・いない島の区別がはっきりとあります。奄美のようなハブがいる島の人は、むやみに畑や草地、ましては山中の藪に入ったりはしません。奄美や隣の加計呂麻島では、集落にあるサンゴ塀沿いに、ハブ退治の棒が数メートルおきに立てかけられている風景を目にします。それぐらい、人々の中にハブがいるという意識があります。

加計呂麻島のハブ退治の棒

夜の山中の観察行は、ヘッドライトの明かりを頼りに車を進め、林道上もしくは林道沿いに何かを発見すると、車を降りて道路上で観察する、という形で進んでいきました。最初に目に入ってきたのは、爬虫類両生類でなく、天然記念物のアマミノクロウサギです!

アマミノクロウサギは、開けた場所が好きだそうで、林道上によく出てくるみたいです。ハブ退治のために持ち込まれた移入種であるマングースの影響で数が減り、一時期は山を走り回ってもほとんど見かけることがなかったといいます。しかし、マングースバスターズ(この話は興味深いので、番外編として別にトピックを立てます)によってマングースが根絶されつつある現在、数が復活してめぐり合うチャンスも増えたそうです。わたしも、写真はとれなかったものの、林道から山の茂みに駆け上がっていく姿を一瞬だけ目撃できました。

奄美野生生物保護センターのアマミノクロウサギ剥製

アマミノクロウサギを見たあとも、引き続き進んでいきます。すると、路上にカエルの姿が・・・・・アマミハナサキガエルです。姿かたち、大きさのイメージは、トノサマガエルに近いです。ただ、跳躍力はそれほどでもない感じでした。

アマミハナサキガエル

今回は、爬虫両生類に限らず、アマミノクロウサギや固有種の鳥など動物全般を観察することが目的でした。鳥は、木々の枝や電線などヘッドライトの照らす範囲より上にとまっているので、ヘッドランプの明かりを落として、懐中電灯を照らしながら進みます。照らすのは私、車を進めるのは地元の方です。

しばらく行くと、道路沿いに沢水を受けるための造作物が現れました。降りて近寄ってみると、浅いながらもきれいな水場があり、ウシガエルくらいの大きさがあるふっくらとしたカエルがいます。オットンガエルです。複数います。

造作物の上のオットンガエル水場に集まるオットンガエル

この水場が産卵場所となっているらしく、卵や幼生の姿もみえます。また、これを食べることもあるのでしょうか、イモリ(奄美大島にいるイモリは、イボイモリかアマミシリケンイモリ。エラが張っているのでイボイモリかなとは思いますが、わかりません)の姿もありました。月明りしかない深い山の中の夜、このような光景が静かに繰り広げられていることに感銘を覚えます。

オットンガエルの卵卵を食べに来たイボイモリ?

さて、クロウサギや奄美固有種含む爬虫類両生類も見て、アマミヤマシギという、これまた珍しい鳥も目撃し、満足して名瀬のホテルへ戻ろうという頃合いに、すごいものと出くわしました。

夜の路上のハブ1

ハブです。

あまり近寄らないように言われ、注意して車を降ります。距離をおきながら、ゆっくり近づきます。ハブセンターで見たような大物ではないですが、生で見ると迫力がありますね。

夜の路上のハブ2

しばらくとぐろを巻いていましたが、するすると移動して山の上の方に。

去っていく夜の路上のハブ

この後聞いた話ですが、奄美のハブが小型化しているという説があるそうです。クマネズミが奄美に移入種として定着したことがその原因ではないか、とのこと。ハブが今までの餌よりサイズの小さい餌であるクマネズミを食べるようになり、食性が変化。その変化に応じて体も小型化した可能性があるという仮説です。また、クマネズミにあわせてハブが生息域を拡げ、人家付近にも現れるようになったそうです。

いずれにせよ、奄美にはまだまだハブがたくさんいるし、人との関わりのなかで隣人として生き続けているのだと感じました。

 

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奄美大島夜の観察行 海岸編(リュウキュウカジカガエル、アカマタほか)

上空から見た奄美大島

奄美大島は、鹿児島県と沖縄県の間に位置する離島。東京23区とおなじ位の広さを持つ、かなり大きな島です。人口は約6万人と多く、島の中心部名瀬はこじんまりした地方の県庁所在地並みの街並みです。

交通の便は、鹿児島空港からの便が毎日複数便運航されているほか、東京・大阪からの直行便が毎日出発。数年前には、南西諸島への交通を抑えているJAL系に加え、成田-奄美を結ぶLCCのバニラエアが就航、ずいぶん安く行きやすくなりました。

そんな奄美大島ですが、地形が起伏に富み、温暖な気候から植物の生長がはやいため、少し街を離れるとジャングルのような雰囲気さえあります。面積は広大ですが、山地部分が多く、すべてサトウキビ畑になってしまうような場所ではありません。山地部分もたびたび森林伐採などの開発が入ってきたらしいのですが、気候の特性から回復が早いとのこと。それゆえ、有名なアマミノクロウサギをはじめとする貴重な生態系が何とか保たれ、爬虫両生類も豊富です。

奄美大島の山地

その奄美大島を、爬虫両生類の活動が活発となる夏の夜、生き物に詳しい地元の方に案内してもらいました。

まず最初に向かったのは、ウミガメの産卵/孵化が見られるかもしれないという海岸。海岸沿いには集落があるのですが、集落にある海岸近くの街灯はすべて赤い色になっていました。

海岸沿いの赤い街灯

これは、子ガメが孵化した後、人口の光に寄せられ誤って海でなく陸地方面に行かないようにするための配慮とのこと。生態系や環境に対して、地域・行政によるしっかりした取り組みがされているんですね。

さて、この日は海岸沿いの砂浜を場所を変えて2か所、しばらく歩きましたが、海亀はみられませんでした。ただ、ウミガメが孵化し、出てきた後の穴は見ることが出来ました。

海亀が孵化した後の穴

海亀が孵化した後の卵の殻

ウミガメの子供には、街灯の明かりのほかにも多くの困難が待ち受けているようです。砂浜の卵は、山からリュウキュウイノシシという小型のイノシシが下りてきて、掘り返して食べてしまうそうです。また、かつては人間も、ウミガメの卵を食べたそうです。砂浜を歩く前に、海岸沿いの道端に集まっていた方(このあたりでは、夕暮れ時の海岸に、お酒を片手に人が集まっているのをよく見ます)から聞いたお話ですが、結構おいしいものだったとか。私も、ウミガメの煮込みは食べたことがあるのですが、卵はありません。

さて、そんな訳でウミガメを目当てに海岸沿いの砂浜を歩いていた時、海へ流れ込むせせらぎにきれいなカエルを発見しました!

海岸のリュウキュウカジカガエル1

リュウキュウカジカガエルです。カジカガエルは渓流のイメージが強く、こんな砂浜で出会えるとは思いませんでした。よく見ると、周りには複数のリュウキュウカジカガエルが・・・たまたま一匹がはぐれてここに来たわけではなさそうです。奄美は、山地が海になだれ込むようなリアス式の地形なので、海岸のすぐそばに山があるのですが、それでも海が荒れれば潮を被るような砂浜です。そこにきれいなせせらぎがあって、黄緑色に輝く宝石のようなカジカガエルが何匹もいる・・・ウミガメは見られませんでしたが、ちょっとした感動がありました。

海岸のリュウキュウカジカガエル2海岸のリュウキュウカジカガエル3

しばらく観察して再び歩き出すと、今度はアカマタを発見。リュウキュウカジカガエルを食べに来ているのかもしれません。

海岸のアカマタ

イノシシにウミガメにカエルにヘビ、そして集まってくる人たち。奄美の海岸は、濃いですね。

この後は、山に移動しました。山地編へ続きます。

 

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沖縄・久米島で見たオキナワキノボリトカゲ

皆さんは、キノボリトカゲ(オキナワキノボリトカゲ)というトカゲをご存知でしょうか。

葉っぱの上のキノボリトカゲ

関東圏出身の方の場合、子供の頃から慣れ親しんだ身近なトカゲというと、①草むら近くで日光浴をしているニホンカナヘビ、②夜、蛍光灯で照らされた白い壁に張り付いている二ホンヤモリ、③幼体のブルーの尾が美しいメタリックなニホントカゲ、ではないでしょうか。いずれも、姿かたちとしては装飾的要素がなくシンプルな種類です。

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【徹底解説・決定版】ヤモリとイモリの違い(写真多数)

「イモリとヤモリの違いは?」

イモリとヤモリの違い

爬虫類・両生類好きにとって、間違えようのないイモリとヤモリ。ただ、一般的には、なかなか区別がつきにくい生き物でもあります。

イモリとヤモリは、少なくともライオンとトラ、犬と猫くらいには違う生き物です。そこで今回は、飼育経験そこそこ・目撃経験多数の当サイトなりに、ヤモリとイモリの違いを徹底解説。この記事を読めば、必ず見分けられるようになります。

イモリとヤモリのかんたんな見分け方は2つ

イモリとヤモリの相違点は多々あります。ただ、わかりやすく、これさえ覚えておけば99%判別可能という見分け方を挙げるとすると、次の2つになります。

①イモリは水のあるところにいる。ヤモリは乾燥したところにいる。

②イモリは地面近くにいる。ヤモリは高いところにいる。

野生の写真で見分けてみる(アカハライモリとニホンヤモリ)

さっそく、本州で見かけるイモリとヤモリの一般的な種類について、実際の野生の写真を確認してみましょう。まずは、イモリの方。日本で一番メジャーな種類であるアカハライモリを、野生で見かけた時の写真がこれ。

尾瀬の木道からみた野生のアカハライモリ

どんなところにいたかと言えば、、、

上のような湿原の池塘(水たまり)の中です。水のあるところで、地面近くということがわかると思います。アカハライモリは、島根県の神社の池でみかけたこともあります。野生のアカハライモリを尾瀬でみるという記事にその時の写真を載せていますのでご覧ください。

一方のヤモリですが、同じく本州でもっとも一般的にみられるニホンヤモリの写真がこれ。

どんなところにいたかと言えば、、、

都内の、築数十年と思われるマンションの塀にはりついていました。乾いたところで、地面から離れた比較的高いところにいるのがわかると思います。

野生の写真で見分けてみる(少し珍しい種類)

それでは、日本にいる少し珍しいイモリとヤモリの写真を見てみましょう。まずは、イモリの方。日本にいるイモリは大別して3種類、アカハライモリとシリケンイモリとイボイモリになります。シリケンイモリは後程赤ちゃんを登場させますので、ここではイボイモリを見てみます。

奄美大島にいた、(おそらく)イボイモリ

くわしくは、奄美大島夜の観察行 山地編(ハナサキガエル、オットンガエル、イボイモリほか)という記事で紹介していますが、山のなかの林道沿いの沢水がたまった場所で見かけたイモリです。ここにはカエルが産卵に来ていて、イモリはカエルの卵やオタマジャクシを食べに集まっていた模様。全体的な雰囲気は、下の写真のような感じでした。

イモリがいた水たまり

見てみると、やはり水のある場所で、かつ地面近くにいるのがわかると思います。

もう一方のヤモリのすこし珍しい種類を見てみます。こちらは、西表島でみたホオグロヤモリという種類。南方には同じようなヤモリがたくさんいるので、あくまでおそらくホオグロヤモリ、です。

このヤモリ、夜の間ずっと鳴いていました。鳴き声、結構大きかったです。さて、明るい照明の脇にいるので何となくおわかりかと思いますが、ヤモリがいた場所は下のようなところ。

ホオグロヤモリがいた場所

水場でなく、地面から離れた高い場所にいるのがわかると思います。

ここで少し注意です。イモリは水のある所にいると書きましたが、これは常に水中にいるという意味ではありません。野生のイモリは、乾燥には弱いものの、湿った林の落ち葉の下など必ずしも水中でない場所にも暮らしています。「水のあるところ」は少し広めに捉えていただければと思います。

忘れそうになったときの覚え方、「井守」と「家守(屋守)」

イモリは漢字で「井守」、ヤモリは漢字で「家守(屋守)」と書きます。これは、イモリは井戸を守り、ヤモリは家屋を守るからともいわれています。2つの見分け方を念頭にここまでの写真をみれば、この「井守」と「屋守(家守)」のイメージがすっと頭に入ってくると思います。イモリとヤモリ、どっちがどっちか思い出せなくなったら、2つの見分け方と漢字の表記を思い出してください。

イモリは泳げる・潜れる、ヤモリは素早く登れる・張り付ける

さて、ここまでは、イモリとヤモリの違いを生息環境の面から説明してきました。次は、イモリとヤモリの身体能力の差に着目してみます。ただ、結局、前に挙げた2つの違いを別の面からとらえているだけなんですが・・・

イモリは水の中で泳げる、潜れる

まず、イモリの方。イモリは水中に長い時間潜ったり、決して早くはないものの泳いだりすることができます。イモリを飼育している水族館の飼育環境を見てみましょう。下の写真は、井の頭自然文化園水生物館のイモリの水槽です。

水中に、何匹かイモリがいるのが見えます。魚のようには泳ぎ回りませんが、水中での移動は慣れたもの。魚とはレベルが違いますが、一応泳げるといっていい水準。

見ていると、ときどき息継ぎのためにあがってきますが、基本的にはかなりの長い時間、水中にいることができるようです。

一方、ヤモリが水中に潜ったり、水中で泳いだりしている場面は見たことがありません。ヤモリは水を飲むときも、朝露や夜露を舐める形で飲むそうです。また、ヤモリの飼育書を読むと、「ヤモリは水を直接飲まないので霧吹きで水を与えよ」とあります。そのうえ、「体温が下がるから霧は体に吹きかけるな」と。ヤモリ、イモリと全然違いますね。

ヤモリは壁に素早く登れる、張り付ける

泳げない、水に潜れないヤモリですが、壁に貼りついたり登ったりする能力は天下一品。イモリの「一応泳げる」ようなレベルとはちがって、なぜこんなところに貼り付けるのかわからないようなツルツルの面にも張り付きますし、壁を登るスピードもすごく早い。まずは、ガラス面に貼りついたヤモリの姿をご覧ください。

上の写真は、登別マリンパークニクス陸族館で飼育されているマダガスカルヒルヤモリです。ツルツルのガラスにピタッと貼りついて落ちません。裏側からみると、手足の指でガラスに貼りついていることがわかります。

ヤモリの貼りつく力はなかなかのもので、世の中には、ヤモリの指の仕組みをもとに開発された接着テープ、通称「ヤモリテープ」という製品まで存在します。ヤモリテープを開発した日東電工のHPによれば、ヤモリの指先には非常に細かい毛が超高密度で密生していて、その細かい毛が壁面の分子レベルの細かい凸凹に入りこむことにより、壁面に吸い付くことができるそうです。ヤモリ、すごいですね。

日本のイモリとヤモリ、その他の違いいろいろ

お腹が赤いのがイモリ、白いのがヤモリ

日本で最も一般的なイモリであるアカハライモリは、地域による外見・模様のバリュエーションがかなりあるものの、名前の通りおなかが赤色をしています。次の項で説明しますが、アカハライモリには毒があり、目立つ赤は、毒を持っていることを示すための警戒色と考えられています。

アカハライモリは、お腹が赤色
井の頭自然文化園水生物館のイモリ

一方、ヤモリは、日本産種のみならず、基本的にお腹が白い色をしています。実例は、先ほどのガラスに貼りついているヤモリの写真をご覧ください。ちなみに、ヤモリの仲間であるワニやトカゲ、ヘビなども、同様にお腹の色は白い傾向があります。

毒があるのがイモリ、毒がないのがヤモリ

アカハライモリは、小さな生き物で、動きも早くありません。野生においてはかなり弱い存在です。そこで、自分の身を守るために、フグ毒と同じ種類の毒を持っています。一方、ヤモリに毒はありません。

尻尾を切って逃げるのがヤモリ、自分から尻尾を切らないのがイモリ

イモリは身を守るために毒をもっていましたが、ヤモリは別の方法で身を守ります。ヤモリは、襲われたときにみずから尻尾を切ります(自切といいます)。尻尾はしばらくの間動いているので、敵はそちらに気をとられてしまいます。ヤモリは、その間を利用して逃げます。いわゆる「トカゲの尻尾切り」ですね。一方、イモリは尾を自切しません。

尻尾の再生能力を持つのがヤモリ、尻尾以外も再生する能力を持つのがイモリ

ヤモリは尻尾を自切しますが、しばらくすると尾は再生します。しかし、尻尾以外の手や足がなくなると、再生することはできません。一方、イモリは手足ばかりでなく、目や脳、心臓の一部を切りとっても再生するという驚異の能力を持ちます。このイモリの能力は、再生医療等への応用ができないか研究の対象となっています。

赤ちゃんが親と同じ形でないのがイモリ、同じ形なのがヤモリ

イモリの赤ちゃん(幼生)は、親とはすこしちがった姿をしています。奄美大島の山の中でシリケンイモリの赤ちゃんを見た時の写真がこちら。

わかりにくいですが、白いレンゲの中にいるのが赤ちゃんです。小さくて細めのウーパールーパーとオタマジャクシを足して2で割ったような姿をしています。イモリは卵から生まれ、このような親とは違う形の幼生として過ごした後、変態を遂げて成体になります。

一方、ヤモリの赤ちゃんは大きさこそ小さいですが、卵からうまれた直後から姿かたちは親と全く同じです。

赤ちゃんが親と同じ姿かどうか。これは、爬虫類(ヤモリ)と両生類(イモリ)の違いでもあります。

前足の指が4本なのがイモリ、5本なのがヤモリ

いよいよマニアックな話になってきました。ふつう、イモリとヤモリを見分けるのに前足の指を数えたりしませんよね。ただ、タイトルに【徹底解説・決定版】と銘打ってしまいましたので、一応触れておきます。日本を代表するポピュラーなイモリとヤモリについて、

・イモリ(アカハライモリ)の前足の指は4本

上野動物園のアカハライモリ、前足の指は4本

・ヤモリ(ニホンヤモリ)の前足の指は5本

都内住宅街のニホンヤモリ、前足の指は5本

となっています。

大きな鳴き声がしたら、ヤモリ(ただし本州の一般的なヤモリの鳴き声はあまり聞かない)

本州でよくみるニホンヤモリの鳴き声はあまり聞きませんが、南方にはよく鳴くヤモリがいます。上で触れた西表島のヤモリの声はかなり大きかったですし、有名なところでは、「トッケイ」と鳴くトッケイヤモリという種類が外国にいます。

上野動物園のトッケイヤモリ

私も東南アジアのゲストハウスでトッケイヤモリの鳴き声を聞いたことがありますが、相当大きい声でした。たまに「トッケイ」と声をあげるのですが、人間が少し離れた場所の人と話すくらいの声の大きさで、かつ人間の話し声より良く通る音がします。

一方、イモリが大きい声で鳴くという話は聞いたことがありません。大きい声で鳴いていたら、ヤモリの可能性が高いです。

イモリとヤモリ、東京(大都市)でみかけるのは?

人家にすむヤモリと、水場付近や湿地帯に生息するヤモリ

ヤモリは、東京でも野生の姿を普通に見かけることが出来ます。夏の夜、蛍光灯で照らされた少し古い建物の白い壁などを注意してみてください。よくいる地域とそうでない地域があるようですが、都内の住宅街を何か所かまわれば、壁に張り付いているヤモリを見ることはそれほどむつかしいことではありません。近寄ると、時々するするっと逃げられますが、ヤモリは基本的には毎日同じ場所に出てきますので、隠れてしまっても翌日同じところに行けばまた見れます。

都内住宅街の建物に住み着くヤモリ

一方、東京で野生のイモリを見ることは難しいです。井の頭自然文化園水生物館にあった説明によると、東京都レッドデータ(2010)で、区部では絶滅危惧IA類、多摩地区では絶滅危惧IB類に指定されているとのこと。東京では特定地域の湧き水のある場所などにわずかに生息しているというのが現状のようです。

家屋をすみかに出来るヤモリと、水たまりや湿地帯に生息するイモリ。東京には、ヤモリが棲める人家はまだ多く残っていますが、イモリが棲めるような環境はほとんど消えてしまったのでしょう。

イモリもヤモリも販売されている

ただ、ペットショップなどでは両方とも見ることができます。アカハライモリは、ちょっとしたホームセンター等でペットとしてよく売られています。値段も数百円とそれほど高価ではありません。ヤモリの方は、ペットとして売られているのはあまり見かけませんが、爬虫類専門店などでほかの爬虫類の餌(餌ヤモリ)として販売されているのをたまに見ます。餌としての販売なので、まとめ売りが多く、一匹当たりの値段は当然高くありません。

飼いやすいのはイモリ、ヤモリは餌やりが大変

イモリとヤモリ、飼いやすいのはイモリの方です。イモリは人工・冷凍のエサで飼えますが、ヤモリは基本的に動く(生きている)小さな虫しか食べないからです。このサイトの「餌・ケージ」コーナーを読めばわかりますが、生きている小さな虫をコンスタントに用意して与えるのは、結構大変です。一方、イモリはホームセンターなどで売っている人工飼料や冷凍アカムシを食べるため、金魚やカメと同じ感覚でエサを与えることができます。

最後に・・・ヤモリは爬虫類、イモリは両生類

イモリ=両生類、ヤモリ=爬虫類。これ、事実なんですが、最後まで書きませんでした。ヤモリとイモリの違いがわからない場合、爬虫類と両生類の違いもよくわからないことが多いはずと思ったからです。ただ、爬虫類と両生類の違いを押さえると、ヤモリは爬虫類だから〇〇という特徴がある、イモリは両生類だから××という特徴がある、といった説明が可能になります。爬虫類と両生類の違いは別記事で解説する予定ですので、わからない方はご一読ください。

ちなみに、記事の冒頭で、イモリとヤモリはライトンとトラ、犬と猫と同じくらい違う、と書きました。ライオンとトラは、同じ哺乳類。犬と猫も、同じ哺乳類。対して、イモリは両生類、ヤモリは爬虫類。

全然違う!と思って頂けたでしょうか。

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絶海の孤島・北大東島でスタスタ歩く移入種ヤエヤマイシガメ

「絶海の孤島」という表現があります。沖縄県の大東諸島は、まさにその表現が当てはまる、周りに何もない海の真っただ中にある島。

上空から見た北大東島

この島には、どのような生き物が暮らしているのでしょうか。

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