このサイトでも何種類か紹介している、ニホントカゲに似たトカゲいろいろ。
幸いにも、大谷勉著「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」という非常に詳しい本のおかげで、どの地域にどのようなトカゲがいるのか、写真付きで情報を得ることが出来ます。
ただ、雌雄や成長の段階に加え、地域変異や個体差もあり、この種のトカゲの種類を外見のみで判別するのは、素人にはやはり困難。
ということで、今回も見かけたエリアからの判定になりますが、「オキナワトカゲ」をご紹介します。
目次
図鑑でみるオキナワトカゲの特徴
前述の「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」で、よく似た一群である有鱗目トカゲ亜目トカゲ科トカゲ属のトカゲとして紹介されているのは、
です。
この中で、沖縄本島に分布するのは、オキナワトカゲとバーバートカゲのみ。すなわち、沖縄本島でニホントカゲのようなトカゲを見かけた場合、このどちらかである可能性が高いということになります。
なお、同書からそれぞれの生息域についての記載を抜粋すると、
オキナワトカゲの生息域
- 通常低地の海岸付近や集落、農地などの比較的開け、草むらや岩場・人家など身を隠す場所が多くあり、日当たりの良い場所に生息する。農道・林道などの開発により、道路沿いに生息域を拡大し、山地の果樹園内でも見かけるようになる。
バーバートカゲの生息域
- 主に山地の森林内に生息し、低地性のオキナワトカゲやオオシマトカゲと棲み分けているが、林道などの開通でオキナワトカゲが山地の道路脇や果樹園でも見かけ、山地が海岸までせり出している場所では局所的にバーバートカゲと混棲している場所もある。林内でも木漏れ日が当たる場所を好み、日光浴をする姿を林道脇でも見かける。動きは敏捷で危険を感じると物陰にすばやく逃げ込む。
となっています。一言でいうと、平地にいるのがオキナワトカゲ、山地の森林にいるのがバーバートカゲだと言えます。
集落にいたオキナワトカゲ
さて、冒頭の写真の個体を見かけたのは、本島北部の集落内です。沖縄北部に行かれた方はわかると思いますが、北部は基本的に山がちなエリアで、海岸沿いのところどころに集落がある、という場所。
この集落があるのも、5分も歩けば山ですが、5分も歩けば海岸という平地。家屋もそれなりに集まっています。
ここにいた個体は、いた場所から判断すると、オキナワトカゲと思われます。
これを踏まえたうえで、外見からも確認してみましょう。同書には、
オキナワトカゲの特徴
- オスの背面は暗褐色で体側上部に黒褐色の縦条模様が入る。〜中略〜幼体期にある尾の光沢のある青色は尾の基部にまで達せず、成長と共に薄れ、オスでは消失する。体鱗数は26列。
- メスでは幼体時の縦条などの模様は薄れるが残り、尾の青さも尾先の方に薄れて残る。
- オスは繁殖期に顎から胴の体側にかけ、濃いオレンジ色の婚姻色示し、縄張りを持つ。
バーバートカゲの特徴
- オスの背面は茶褐色で体側上部には黒色に近い縦条が入り、尾には幼体時の青みを帯びている個体が多い。幼体の背面は黒色で淡黄色の縦条は5本あり、尾は後肢の付け根まで濃藍色が美しい。〜中略〜体鱗列数は22〜24列。
- メスは幼体時の体色・縦条が残り、黒っぽく見える。
とあります。大雑把には、
- ニホントカゲ成熟個体で見られるメタリックな黄金色のイメージがオキナワトカゲ
- 黒地に金色の細い筋、青い尾をもつニホントカゲ幼体のイメージがバーバートカゲ
とわけられそうです。
冒頭写真を改めてみていただくとわかりますが、この個体は前者のタイプ。すなわち、集落にいた個体は、いた場所からも、外見からもオキナワトカゲと言えそうで、かつ婚姻色を持つオスと推定されます。
海岸近くの建物脇にいたオキナワトカゲ
続いて、別の個体を見てみます。目撃したのは、おなじく山がちな北部の、山沿いかつ海岸沿いの道路わきにある、僅かな土地に建つ建物のそば。冒頭の個体を見た場所とは、全く違う場所です。
この個体も、場所・外見からして、オキナワトカゲと言えそうです。
オキナワトカゲの幼体
それではさらに、そこから徒歩1分ほどの場所で見た、次の幼体はどうでしょうか?
さきほど抜粋した「日本の爬虫類・両生類飼育図鑑」には、オキナワトカゲは、「山地が海岸までせり出している場所では局所的にバーバートカゲと混棲している場所もある」とありました。沖縄北部は山地が海岸までせまっている場所が多いのですが、ここもすぐ背後が山となっている場所。
低地は低地ですが、山が迫っていてバーバートカゲの可能性もなくはありません。そこで、思い出したいのが外見での区別方法。前出書では、尾の青色が尾の付け根まで達しているかどうかがポイントとなっていました。改めて幼体をみてみると・・・
達していません。どうやら、オキナワトカゲであるように見えます。
南方にある沖縄は、爬虫類や両生類の宝庫。似たようなトカゲに見えても棲み分ける別種だったりしますし、奥に入れば、キノボリトカゲ、トカゲモドキやリュウキュウヤマガメといった本土ではみかけない姿かたちをした種類が、何種類も住んでいます。
ただ、こういった爬虫類両生類が減少傾向にあるのも残念ながら事実。実際、前出書オキナワトカゲの項には、
「沖縄島では全域に生息していたが、マングースの移入により南部や中部の個体群はほぼ絶滅。北部の個体群も一時期減少したが、マングースの捕獲事業により、近年多少回復傾向が見られる」
との記載がありました。滅多に見られないトカゲとならないよう、願いたいものです。